NECは1日、同社の個人向けPC2011年春モデルの発表会を開催した。PC事業におけるレノボとの合弁が発表された直後ということもあり、会場では今後の事業展開についての質問が相次いだ。また、当日朝にはインテルから第2世代Intel Core(Sandy Bridge)対応チップセットに不具合があったとの情報が入っており、新製品のうちの該当製品は発売日未定という取り扱いとなった。
新生活ユーザーのニーズに応えるラインナップ
登壇して新商品の説明を行ったのは、NECパーソナルプロダクツ PC事業本部 商品企画開発本部長代理の栗山浩一氏。栗山氏は冒頭、先日のレノボとの提携会見について言及。「今回の提携は、NECのブランド・商品開発力・販売力と、レノボのグローバルな製品開発力・調達力を融合させることで、NECにとってもPC事業の強化となる。それによってよりよい商品をお客様に届けるのが狙い」と語ってから新商品の説明に移った。
今回の新商品発表は、7タイプ51モデルのフルモデルチェンジ。春シーズンには新たな生活をはじめるユーザーが多いということで、そういったユーザーのニーズに応える強化テーマとして「Sound」「3D&ブルーレイ」「TV」「Design」の4つを挙げた。
「Sound」に関しては、パソコンで音楽を聴くユーザーが50.1%に達するという調査を紹介。「VALUESTAR W」「VALUESTAR N」の従来モデルで採用してきた高音質YAMAHAサウンドシステムを、今回新たに「LaVie L」にも搭載し、搭載モデルが前シーズンの11モデルから新製品では22モデルに倍増させた。このノートPCへの搭載にあたり、スピーカーシステムは容積比で従来比約19%まで小型化を行っているという。また、筐体の設計に際しては、まずスピーカーの位置を決め、その後に各種のインターフェースを配置したとのことで、それにより音響的に理想的な位置にスピーカーが配置されることになった。
YAMAHAサウンドシステムをノートPCに搭載するにあたっては、大幅な小型化が必要だったという。栗山氏が掲げる2つのスピーカーのうち、右手に持っているのが新型の小型スピーカー、左手に持っているのが従来のスピーカーだ |
3Dについては、これまでの「見る」だけの楽しみ方から、デジタルカメラ・デジタルビデオカメラで3Dコンテンツを「作る」こと、3D対応ゲームで「遊ぶ」ことなども広がっていくのではないかとした。また、ブルーレイについてもパソコン購入予定者の85%がブルーレイが必要だと回答したというデータを示し、普及モデルという位置づけのスタンダードノートPC「LaVie S LS550/DS」までブルーレイディスクドライブを搭載したことの意義を語った。
地デジについてはいまだ非地デジのテレビが2010年末時点で4,900万台残っているという調査を元に、とくにパソコンでの置き換えが狙える個室のテレビに非地デジのまま残っているものが多いとされることから、パソコン・テレビ・レコーダーの3役を兼ねられる地デジPCの普及を図りたいとした。新商品では、この市場に向けて、ワイヤレスTV対応や3波対応Wチューナーのラインナップ拡大、10倍ハイビジョン録画への対応といったテレビ機能の強化が図られているという。
最後のポイントとしてデザインに言及。スタンダードノート「LaVie L」、コンパクトノート「LaVie M」がこの春モデルで新デザインに生まれ変わっており、「LaVie L」については従来の"キラキラ感"に変わる"透明感"というキーワード、スクラッチリペア・クリスタライズキーといったデザインのポイントを紹介した。「LaVie M」はモバイル製品でありながらスタンダードノートなみの使いやすさを実現する製品として作り上げたとのことで、ポイントとしてはテンキー付きアイソレーションキーボード・DVDスーパーマルチドライブ・スクラッチリペアを挙げた。
NECのブランドは維持、生産体制も夏モデルまでは変化なし
質疑応答では、レノボとの合弁についての質問が相次いだ。まず、「レノボとの提携によってユーザーにとってどういうメリットがあるのか」という問いに対しては、「NECブランドの商品は今後も残るので、付加価値のある商品の提供は続けていく。品質レベルも、NECブランドの商品については変わることはない。サービス・サポートも従来の体制で、NECの品質基準を維持する。基本的に、お客様にとっては、顧客価値が変わらないまま提携後も製品の提供を続けていくつもり」とし、新体制が発足する6月に向けて調整をしているとした。また今後の商品の価格について、「レノボの調達力を活用することでコストダウンのメリットがある」とし、「それを売価に反映するべきなのか、付加価値を高めた商品を作るべきなのか、R&Dに投資していくのかというのは今後の商品戦略の中で検討していくこと」と語った。
また、販売店への影響についての問いには「現時点では、従来の販売店との関係はいっさい変わらないということを説明してまわっている段階。販売店からは、NECの従来通りのサポートが提供されるのであれば、これからもNECの商品を扱っていくとの反応をいただいている」と回答。例年6月ごろに発表されている夏モデルについても、「当面NECブランドが残ることになっているし、今回の提携は日本のPC市場でのシェア拡大を狙っているもの。したがっって、日本の商戦期をずらすことは考えられない」と、これまでどおりのスケジュールで計画していることを明らかにした。
レノボとの提携による生産体制への影響については、「台湾のODMで生産している比率が高まっているのは事実だが、米沢事業場での設計・開発機能がなくなったわけではない。デザインを含め、米沢で基本設計・品質基準を定めてODM先での開発を行っており、常にNECの品質基準をクリアすることを求めている。そういった点はこれまでと変わらないし、レノボとの提携においても、NECが国内の市場の要求に応えてきたということを活かしていきたい」と語り、今後のODM先との関係については、「今後レノボと協議するところであり、現時点では今の体制のまま夏モデルも、秋冬モデルもやっていく」と語った。
また、インテルのチップセット不具合の影響について、その報を受けて一部モデルの発売日を「未定」としたことを明らかにし、現在その影響を調査しているという。一部商品の発売が遅れることによる商品不足の懸念については、不具合の影響を受けないノートPCの主力「LaVie S」でカバーしたいとした。
■NEC 個人向けPC春モデル(2011年2月1日発表)
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