スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は、27日に日本の長期ソブリン格付けを「AA」から「AA-」に引き下げたのに伴い、同日から28日にかけ、政府系機関5法人、電力5社と大手都市ガス2社、東京都、愛知県などについても、「AA-」に格下げした。
S&Pは27日、同日に日本の長期ソブリン格付けを「AA」から「AA-」に引き下げたのを受け、日本政策金融公庫、国際協力機構、日本高速道路保有・債務返済機構、住宅金融支援機構、地方公共団体金融機構の長期発行体格付けと長期優先債券格付けをそれぞれ「AA」から「AA-」へ1ノッチ(段階)引き下げ。また同日、預金保険機構の長期発行体格付けを「AA」から「AA-」へ1ノッチ引き下げた。
さらに、S&Pでは28日、電力5社(東京電力、中部電力、四国電力、沖縄電力、電源開発)と大手都市ガス2社(東京ガス、大阪ガス)の長期会社格付けを「AA-」へ1ノッチ引き下げ。さらに同日、東京都の長期発行体格付けと長期優先債券の格付けをそれぞれ「AA」から「AA-」に1ノッチ、愛知県の長期発行体格付けと長期優先債券の格付けをそれぞれ「AA」から「AA-」に1ノッチ引き下げたと発表した。
一方S&Pは28日、事業会社8社(NTT、NTTドコモ、キヤノン、武田薬品工業、デンソー、トヨタ自動車、国際石油開発帝石、成田国際空港)の会社格付けとアウトルックをそれぞれ据え置いたと発表。NTT、NTTドコモ、キヤノン、武田、デンソー、トヨタの6社については、現在の長期会社格付けが「AA」で、長期ソブリン格付けを上回るが、これら6社は、「強固な事業基盤や健全な財務体質に支えられて個社の信用力が非常に高い」とS&Pでは評価しているという。
また、日本政府による継続的な支援と特別な支援の蓋然性を格付けに織り込んでいる国際石油開発帝石と成田国際空港についても、格付けとアウトルックを据え置いた。その理由としてS&Pでは、(1)日本ソブリンの信用力悪化と経済環境の悪化が同社のスタンドアローン評価(同社自身に対する信用力評価で、政府による特別な支援の蓋然性を加味する前のもの)に与えるマイナス影響は限定的である、(2)これら2社が政府による特別な支援を受ける蓋然性についてのS&Pの見解に変更がない、との判断に基づいているとしている。