調査会社の米IDCは1月28日(現地時間)、2010年第4四半期の世界の携帯電話市場シェアの調査報告を発表した。同四半期の出荷台数は4億140万台で前年同期比17.9%の成長となり、金融危機前後で落ち込んだ市場は2006年の22.6%以来の成長率を記録した。だがメーカー別シェアの上位陣は当時とはだいぶ入れ替わっており、現在はNokia、Samsung、LGの3社がトップ3、Appleは前四半期から1つ順位を落として5位、代わりに4位の座についたのは中国のZTEだ。
2006年当時から比較して、ベンダー別順位でいえば、Nokia、Samsung、LGの3社は比較的安定しており、以前までトップ3の常連だったMotorolaは脱落し、ソニーエリクソンなどの名前も見られない。代わって最近になり上位陣の常連になっているのがスマートフォンで好調なResearch In Motion(RIM)やApple、そして中国やアジア方面の低価格端末市場で急速に勢力を拡大しているZTEの3社だ。昨年10月に発表された2010年第3四半期の調査では、Nokia、Samsung、LGに続き、Apple、RIMという順位だった。だが通年ではZTEやRIMの順位が上なことからもわかるように、この時期にiPhoneの販売にブーストがかかった状態だったといえるだろう。
Nokiaは第4四半期こそ昨年比で出荷台数がマイナスになっているものの、通年では5%近い成長を見せており依然として好調だ。一方でライバル陣、特にSamsungとZTEの躍進が目立ち、シェア全体では大きく削られている。2位以下を倍以上のシェアで長年にわたって引き離していた同社だが、米国市場での露出が弱いなど市場が偏っていることもあり、ここにきて苦戦がみえる。AppleやRIMの躍進にみられるように、とかくスマートフォン全盛にみえる昨今の携帯電話市場だが、一方で低価格なフィーチャーフォンと呼ばれるミッドレンジ以下の端末を供給するZTEが出荷台数でこれらベンダーを凌駕しているように、市場の2極化が進んでいる。片方の市場を重視するのか、あるいはバランスをとるのか、今後は特に上位陣にとって難しい情勢が続きそうだ。
ベンダー名 | 4Q10出荷台数 | 4Q10市場シェア | 4Q09出荷台数 | 4Q09市場シェア | 年率変化 |
---|---|---|---|---|---|
Nokia | 123.7 | 30.8% | 126.8 | 37.2% | -2.4% |
Samsung | 80.7 | 20.1% | 68.8 | 20.2% | 17.3% |
LG Electronics | 30.6 | 7.6% | 33.9 | 10.0% | -9.7% |
ZTE | 16.8 | 4.2% | 9.5 | 2.8% | 76.8% |
Apple | 16.2 | 4.0% | 8.7 | 2.6% | 86.2% |
その他 | 133.4 | 33.2% | 92.8 | 27.3% | 43.8% |
合計 | 401.4 | 100.0% | 340.5 | 100.0% | 17.9% |
2010年第4四半期の世界の携帯電話市場メーカー別シェア (出典: IDC、出荷台数の単位は百万) |
ベンダー名 | 2010年出荷台数 | 2010年市場シェア | 2009年出荷台数 | 2009年市場シェア | 年率変化 |
---|---|---|---|---|---|
Nokia | 453.0 | 32.6% | 431.8 | 36.9% | 4.9% |
Samsung | 280.2 | 20.2% | 227.2 | 19.4% | 23.3% |
LG Electronics | 116.7 | 8.4% | 117.9 | 10.1% | 0% |
ZTE | 51.8 | 3.7% | 26.7 | 2.3% | 94.0% |
Research In Motion | 48.8 | 3.5% | 34.5 | 2.9% | 41.4% |
その他 | 437.7 | 31.5% | 333.5 | 28.5% | 31.2% |
合計 | 1388.2 | 100.0% | 1171.6 | 100.0% | 18.5% |
2010年通期の世界の携帯電話市場メーカー別シェア (出典: IDC、出荷台数の単位は百万) |