スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は21日、セブン&アイ・ホールディングスの長期会社格付けのアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更したと発表した。同時に、セブン&アイの国内外子会社についても同様に「安定的」に上方修正した。格付けはすべて据え置いた。
セブン&アイ・ホールディングスについて、S&Pでは、連結償却前営業利益の7割を占めるコンビニエンスストア事業の業績・収益性が回復傾向にある上、グループ全体の設備投資計画が今2011年2月期をピークに減少に向かう見通しであることから、「2012年2月期から財務体質が緩やかに改善する」とみている。
セブン&アイのコンビニ事業を担うセブン-イレブン・ジャパンは、消費低迷と競争激化のなかで収益性の悪化に直面していたが、「収益力強化策を促進した結果、売上高が回復してきている」(S&P)。2010年6月から12月までの既存店月次売上高は、たばこ増税前の駆け込み購入の反動が強く出た10月を除く全月で、前年実績を上回った。保存期間の長い食品や価格競争力のあるプライベート・ブランドなどの商品開発を強化しているほか、加盟店の販売支援にも注力していることから、「同業他社や食品スーパーなどに対する競争力は底上げされつつある」(S&P)。
米国セブンイレブンも、セブン-イレブン・ジャパンの商品政策にならい成果を上げているという。スーパーストア事業や百貨店事業は、消費低迷の影響を強く受けて業績不振が続いているが、「連結償却前営業利益の7割をあげるコンビニ事業の業績回復効果でその影響をある程度補うことにより、連結ベースの収益性は回復傾向をたどる」とS&Pはみている。
同グループのセブン銀行のアウトルックも「安定的」に修正。S&Pは格付け分析上、同行を同グループの金融事業を担う中核子会社と位置付けており、「その信用力は同グループの信用力と密接に関連しているとみているため」(S&P)としている。