こちらの記事でお伝えした浅草での「iStockalypse」撮影会に引き続き、東京 青砥で行なわれた撮影会の模様をレポートする。世界各国から来日したiStockphotoフォトグラファーたちも、来日から9日間が経過し、東京にも慣れた様子。リラックスしたムードで撮影会はスタートした。
撮影当日、会場の病院に集まったフォトグラファーは約10名。撮影現場が病院ということで、今回のモデルは医師や看護師、患者などの衣装を着てスタンバイ。フォトグラファーは2チームに分かれ、病院のロビーや診察室、リハビリを行なうための大きめの部屋などで撮影が開始された。
筆者が同行したチームは、病院のロビーで撮影を開始。ここでは診察に訪れた老人患者が、医師に病状を説明しているというシーンが撮られた。フォトグラファーからの指示はとても細かい。患者の病状が悪く、痛さで立ち上がれないようなシーンでは、患者役のモデルに細かい表情を求めていた。「もっと痛そうに! もっと! もっと!」と、声をかけながらシャッターを切るフォトグラファーの姿は、真剣そのもの。
また、このシーンでは背景へのこだわりも感じられた。フォトグラファーは、看護師役のモデルを遥か遠方に配置し、うっすら写っているような写真を撮ろうとしていた。比較的被写界深度の浅いレンズで撮影していたため看護師はボケてしまいはっきり見えないはずだが、そこに看護師がいるのといないのでは、ストックフォトとしての完成度が違う。また、数カット撮影した後、そのモデルに「動き」を指示したフォトグラファーもいた。スチル撮影だったが、モーションブラーの効果を出すためだろう。看護師役のモデルは「普通のスチル撮影と違って面白いです。今日は演技指導もあるので、完全に役になりきっています」と楽しそうに撮影の感想を語ってくれた。
患者が待合室で待ちくたびれているというシーンの撮影では、モデルに紙コップが渡された。これは、待合室に設置されているウォーターディスペンサーのものだ。初めはなにも入っていないコップで撮影していたが、ひとりのフォトグラファーは納得できない様子。するとそのフォトグラファーはペットボトルの水を紙コップに注ぎ、「これを持って欲しい」とモデルに依頼。紙コップはモデルが両手で持っているため、撮った写真からは中に水が入っているかどうかはわからないのだが、コップの持ち方にリアリティを加えるために水は必要だったのだろう。
病院での撮影で、積極的にシャッターを切っていたアメリカ人フォトグラファーに話を訊いた。彼は1日の撮影会で500枚から1,000枚の写真を撮るという。使用しているカメラは「Nikon D3」なので、ファイルサイズもかなり大きい。そのため、今回の来日で持参したCFカードは20枚以上とのこと。一方、マイペースでのんびりと撮影していたフォトグラファーはスペイン出身で、ゆっくり撮影するのが好きとのこと。ちなみに、彼の1日の撮影枚数はたった50枚程度とのこと。生まれが違えば撮影スタイルも違う。こんな実情を知ることができるのも、世界中からフォトグラファーが集まるiStockalypseならではのこと。