「ベルジャンエール」とはどのタイプであろうか

アサヒビールが展開する「アサヒ 世界ビール紀行」シリーズ。各国の伝統的なタイプのビールを限定醸造した商品シリーズなのだが、その第2弾として投入されたのが「アサヒ 世界ビール紀行 ベルジャンエールタイプ」だ。ここからは、ソムリエの試飲コメントを紹介していく。

「アサヒ 世界ビール紀行 ベルジャンエールタイプ」

試飲する人

小山田貴子
フリーライター・日本ソムリエ協会認定ソムリエ・「日本ワインを愛する会」編集長

イタリア留学中(遊学? )にワインに開眼し、帰国後ソムリエの資格を取得。2003年よりCSフーディーズTV(食の専門チャンネル)番組スタッフになり、現職に。ワインが専門ながらビールにも食指が動き、ベルギー(ブリュッセル・アントワープ)、ドイツ(デュッセルドルフ)、イギリス(ロンドン・エジンバラ・ブライトン)、アメリカ(サンフランシスコ・ポートランド・デンバー・ボウルダー・ハワイ)などのビール処を飲み歩いている。

レモンティーのような色合い。泡立ちはそれほど強くない(試飲はベルギービールグラスで行っている)

「伝統的なベルギービールの味わい」を商品化したということで、商品名には「ベルジャンエール」とある。しかし、ベルギービールにベルジャンエールというカテゴリーはない。銘柄だけでも800以上はあるといわれているベルギービールを一口に「ベルジャンエール」とくくるのはちょっと無茶な気が……と思いつつ、いざ試飲。

色から判断するとゴールデンエールになるのか、オレンジ色(紅茶にレモンを絞ったような色)。ただしアルコール度数は6.5%で、ゴールデンエールにするには低め(ベルギーのそれは大抵7%以上)。そしてベルギービールの特徴といえば、注いだときにグラスの縁まで溢れんばかりに出てくる豊かな泡であるが、意識的に勢いづけて注いだところ、2cmほどの泡が立った。これもベルギービールにしては少なめ。

オレンジの皮と乾いたパンの香ばしい香りは特徴を捉えている。味わいはほのかな甘味があるが、総じて苦味が支配しているので酸味はあまりない。余韻も短く、少し物足りなさとバランスに欠ける印象がある。温度設定ももう少し上げるべきかと思ったが、この商品に関しては冷たいまま飲むのがよいと思う(試飲はベルギービール専用グラスで、6℃~8℃で行った)。