18日(米国時間)に米Appleが発表した2010年10-12月期決算は、売上高・純利益ともに過去最高となった。しかし、その前日にCEOのスティーブ・ジョブズ氏の病気療養が明らかにされており、決算発表の席ではむしろ同社の"今後"に注目が集まった。ビジョナリーを欠いた状態で、Appleは昨年の成長ペースを維持できるのか? 決算発表のQ&Aでは、Appleの中長期的な戦略、Androidとの競合などに質問が集中。対応したCOOのティム・クック氏が、ライバルをリードするための戦略的な投資、独占販売契約終了後のiPhone市場拡大などについて語った。
Q&Aを通じてクック氏が強調したのは、タブレット、スマートフォン、パソコン、それぞれの市場における大きな可能性だ。昨年7-9月期の決算ではiPadの販売台数の数字が低く、タブレット市場の需要を喚起できていないと指摘された。ところが10-12月期は733万1000台、前期から75%増だった。供給計画に需要が追いついてバランスが良好になり、当初の計画通りに販売地域を20カ国を追加して合計46カ国に拡大した。今月中にさらに15カ国が加わるという。
iPhoneの販売台数は1,623万5,000台。これには「とても、とても満足している」と繰り返した。それでも需要が供給を上回っている状態で、供給量を増やせば、より大きな数字が可能だったという。米国で11日(同)にVerizon WirelessがiPhone 4の発売を発表したが、これまでiPhoneがサポートしていなかったCDMA系ネットワークへの対応は、今後の市場拡大策の1つである。これはまた、米国におけるAppleとAT&TのiPhone独占販売契約の終焉を意味する。クック氏によると、iPhoneの独占販売契約は米国が最後であり、どの国のキャリアとも契約は残っていないという。iPhoneは独占販売契約を通じて携帯電話市場で足場を築く段階から、あらゆる成長の可能性を探し求める段階に移行した。その一方で「すべての国で(複数キャリアからの提供が)起こるわけではない。市場にはそれぞれの特性や要素、テクノロジがあり、われわれは地域ごとに検討する」と述べた。
日本は世界で唯一iPad Wi-Fi+3GがSIMロック状態で提供されている地域だ。だが、米国同様に携帯ネットワークがiPhoneの弱点として指摘されている地域でもある。大きなCDMA系ネットワーク市場も存在する。米国におけるAppleとAT&Tの蜜月時代の終了と同じことが、日本で起こっても不思議ではない。
Macは19四半期連続で、パソコン市場の平均を上回る成長を果たした。しかしながら、今でもパソコン市場全体に対するMacのシェアは小さい。それゆえに「まだまだ大きなチャンスがある」とクック氏。iPhoneにも同様のことが言えるという。iPhoneはスマートフォン市場では大きなシェアを獲得しているものの、ハンドセット(携帯電話)市場全体から見れば、そのシェアは小さい。今後スマートフォンに乗り換えるフィーチャーフォン・ユーザーが、新しいiPhoneユーザーの候補になる。