Mozillaは15日、Firefox 4.0β9をリリースした。今回のリリースでは、
- 起動時間の短縮
- ブックマーク処理の高速化
- 複雑なアニメーションのよりスムーズな表示
といったパフォーマンス面での改良が行われた。今後の予定であるが、β10、リリース候補版、最終版の順番でリリースされるとのことだ(ナイトリービルドはすでにβ10となっている)。3.0ではリリース候補版はRC3まで登場した。今回はどうなるか、現時点では予想できない。しかし、着実に正式版のリリースに向けて進んでいるのは確かなようである。
起動時間の短縮が目玉
今回の改良点の大きなものの1つに、起動時間の短縮がある。実際にβ9をインストールし、起動してみると体感できる。そこで、今回は起動時間を測定してみた(あくまでも筆者の環境で試したものであり、回線状態などの影響もある点をご理解いただきたい)。測定は、以下の環境を使用した。
- CPU:Intel Core 2 Duo E6600 2.4GHz
- メモリ:DDR2 1GB * 4
- M/B:Asus P2B-VM
- HDD:SATA 80GB
- Graphics:NVIDIA GeForce 9800GT
- OS:Windows 7 32bit版
起動時間の測定には、PassMarkからフリーソフトとして公開されているAppTimerを使用し、5回連続の起動時間を測定した。測定にはWindowsの再起動を行ってから、各バージョンを測定した。
図2 AppTimer |
使用したバージョンは、β7、β8、β9である。測定結果は、図3の通りである。
2回目以降はキャッシュなどの影響もあり、非常に短くなっている。やはり、1回目の起動時間に注目したい。β7たβ8と比較すると30%近い高速化が達成されている。ちなみに5回目の起動時間も着実に速くなっていた。これは、コード全体がより最適化されてきていることを示す一例ではないかと思われる。β7で機能は確定しており、より安定・高速といった改良がなされていることがうかがわれる。
バージョン | 起動時間 |
---|---|
β9 | 0.4062 |
β8 | 0.3907 |
β7 | 0.3594 |
アドオンの対応状況は?
さて、上述したようにβ7で機能は確定し、APIなども固定された。これはFirefoxの膨大なアドオンなどの移行作業を考えてのことである。Firefoxの魅力は、アドオンにあるといっても過言ではない。バージョンアップで気になるのは、アドオンの対応状況である。以前紹介した記事では、MR Tech Toolkitを使い、対応状況を調べる方法を紹介した(図4)。
「Compatible with:」に対応バージョンが表示される。また、別の方法としては、アドオン互換性センターで確認する方法である(図5)。
実際の開発状況と若干の差異があるようだが、おおまかの判断はつくと思う。かなりのアドオンが4.0へ対応してきているが、未だにというものも少なくない。このあたりは開発者に期待をするしかないのであるが、同じような機能を持つアドオンを探してみるのも一案であろう。
3Dグラフィックスのデモ
これはβ8のリリースの際に紹介された3Dグラフィックスのデモであるが、改めて紹介したいと思う。「FLIGHT OF THE NAVIGATOR」と名づけられたものである
HTML5、WebGLなどの技術を使い、Web上のTwitterやFlickerのデータをリアルタイムで取得し、リアルな動きのあるコンテンツとなっている。この表示には、高いグラフィック性能が求められる(M/Bのオンボードグラフィックでは、再生できないだろう)。そんなユーザのために動画解説も用意されている。
解説を読みながらその表現を見ていると、どのようなテクノロジーが使われているかがわかり、これも興味深い。実機でデモが可能であったユーザもぜひ、動画解説は見る価値があるだろう。このようなコンテンツが当たり前の環境となるのが、次世代のブラウザの役目なのかもしれない。改めて正式版のリリースを期待したい。