シャープは17日、浮遊ウイルスの作用を抑え、浮遊カビ菌などを空中で除去する同社独自の空気浄化技術「プラズマクラスター」を搭載した自社商品および異業種企業商品の世界累計販売台数が、2010年12月末までの約10年間で3,000万台を達成したと発表した。
シャープでは2000年にプラズマクラスター技術を開発、第1弾となるプラズマクラスター搭載空気清浄機を同年10月に発売。約5年かけて同技術搭載製品の世界累計販売台数1,000万台を達成し、その後も普及を拡大させてきたという。
同2,000万台を約3年、そして同3,000万台を約2年で達成するなど普及スピードが加速している背景には、「アカデミック・マーケティングの深化、イオン発生機創出とラインアップ拡大、プラズマクラスター搭載商品の広がり、という3つの牽引力がある」と語るのはシャープ 健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部 事業部長 鈴木隆氏だ。
同社では、目には見えないプラズマクラスターの効果を実証するために、いち早くアカデミック・マーケティングをとり入れており、浮遊ダニ・アレル物質、浮遊・付着ウイルスの抑制などだけではなく、昨今では「美肌効果」「ペットの臭い抑制」など効果の幅を拡大させているほか、実生活空間での効果検証も行っているという。
また、2008年にはイオン濃度を従来の約10倍に高めたという「高濃度プラズマクラスター25000」搭載イオン発生機を発売。イオン発生機の累計販売台数(業務用含む)は、2010年12月時点で250万台を達成しており、今回の"3,000万台達成"の大きな後押しとなっている。
同社イオン発生機の累計販売台数(業務用含む)。2010年12月時点で250万台を達成している |
プラズマクラスター搭載ライン数(国内)。「高濃度タイプを充実させたことで、効果を実感していただけた方が増えたのでは」(鈴木氏) |
現在、空気清浄機やエアコン、冷蔵庫、複合機など11品目の同社製品に搭載されているプラズマクラスターだが、今後は公共交通機関や高級ホテルへの採用拡大、アミューズメント施設への導入など大口需要が見込める新たな用途開発にも積極的に取り組む考えだ。
中国、ASEAN各国での展開を強化
国内では73.9%の認知度を誇るプラズマクラスター(2010年4月現在/同社調べ)。グローバル展開も本格化しており、プラズマクラスター搭載製品の展開国数は現在約100カ国。中でも「中国やASEAN各国を重点強化地域として展開する」(鈴木氏)。
プラズマクラスターの国内普及を成功に導いた、「アカデミック・マーケティング」「店頭販促・効果実感」「TVCM認知度向上」という3つの施策を海外でも展開。「普及促進の鍵を握るのは"ローカルフィット"。いかに地域のニーズに合うものを提供できるか」(同氏)と話すとおり、1月下旬には、インドネシアで拡大するバイク需要に着目し、ヘルメットの脱臭を目的としたプラズマクラスターイオン発生機を投入する(日本円で5,500円程度)。
目標は、現状10%となっているプラズマクラスター搭載製品の海外売上構成比を2013年度には「30%」まで伸ばし、世界累計販売台数においても「5,000万台達成」を実現すること。「この"ぶどうマーク"を広げ、健康的な環境づくりで社会貢献を行っていきたい」と鈴木氏は熱く語っていた。