【今日のCFD】英国FTSE100種株価指数
世界の経済が徐々に回復しつつあるという期待感から、市場マネーは債券から株式市場へとシフトする傾向が強まっている。
この動きは、昨日の英国FTSE100株価指数において、底堅い資源価格の動きに支えられた資源系セクターとポルトガル国債のスムースな入札というポジティブな話題の勢いに乗った金融セクターが株価を牽引したことにも表れている。特に後者の金融セクターに関して英国国内では、デビット・キャメロン首相率いる連立政権が銀行の高額賞与制限に失敗していると激しい非難が飛び交うほどに世間の風当たりが強いものの、欧州債務危機懸念の後退がそれを相殺し株価を引き上げる動きとなっている。
また、1月10日に発表された経済協力開発機構(OECD)発表の景気先行指数(CLI)を見ても、イギリス経済は今後4~6カ月の間、安定した成長を遂げる可能性も伺える。
しかし国内の状況に目を向けると、まだ油断できない状況にあることに注意したい。
昨日発表の11月の商品貿易収支は、市場のネガティブな予想を更に下回る87億3600万ポンドの赤字となった。そしてこの数字を反映するかのように、小売セクターについては、材料・供給価格の高騰に加え、今後は増税によって国内消費が圧迫されるとの懸念から2011年の見通しに慎重な企業が多い。
また、現在左派スコットランド国民党が率いるスコットランド政府が、「1年につき最高で32万ポンドの追加課税(Supermarket Tax)をショッピングセンターや大手小売業者に対し行う」ことを2011‐2012年予算案で提案している。当然のごとくこの案に対しスーパーマーケット業界は激しく抗議を行っているものの、万が一にもこの議案が通過する運びとなれば、新店舗開店による事業展開を重要な収益源とする大手小売業の先行きに影をさす形となるだろう。国内の雇用機会が失われるという側面も留意される。クリスマスの商いで記録的な収益を得たSainsbury's(SBRY.L)を含むTesco(TSCO.L)、 ウォルマート(WMT.N)の英国部門AsdaそしてMorrisons(MRW.L)の英小売業界ビッグ4の動向に注意しておきたい。
なお、本日のイベントを確認すると18:30より11月の鉱工業生産と製造業生産高が発表予定となっている。昨日の商品貿易収支に続き2日連続で弱い内容となれば、上述した小売りセクターや指標と関連性のあるセクターを中心に、利益確定売りのきっかけとなる可能性がある。
また、21:00にはBOE(英中央銀行)が政策金利と声明文を発表する。金利は据え置きとの見方が市場の大勢を占めているが、市場は声明文で金融政策の転換を強く示すかどうかを探ってくるだろう。現在米国同様金融緩和政策を実施している英国だが、ベイリー理事は10日、英国の銀行は資本基盤の強化に努めており、ユーロ圏債務危機による影響は軽減されるとの認識のもと、特別流動性供給策を2012年1月に予定通りに終了させるとの考えを示しており、文言の内容によっては株価の上値を抑える要因となりえる点にも注意しておきたい。
このようなファンダメンタルズを踏まえチャートを見ると、上昇基調のトレンドチャンネル内(日足)で推移していることを考えれば、中長期のトレンドは強気だろう。 ただ、6055レベルからの上値追いに慎重姿勢が見られる。1月6日に完全に突破したかに見えたが、日足で確認するとローソク足での突破に失敗し長い上ヒゲを出している。1時間足でみると見事にフィボナッチ76.40戻し6055が意識されているおり、本日も今レベルで停滞するようなら高値警戒感も合わさり、調整売りへとトレンドが傾く可能性も出てくるため注意したい。
そのような展開となった場合、市場で注目されるポイントは6000ポイント割れだろう。1時間足でみると、短期サポートライン(6040レベル)で反転するかが目先の下値ポイントとなりそうだが、破られた場合は10日移動平均線(6011)をも下抜け、一気に6000ポイントをトライする動きが強まるか注目したい。
仮に6000ポイントをブレイクした場合は、次の下値ターゲットは25日移動平均線(5974)が浮上する。1月10日の下落時に相場を下支えし、今年2度目となる6055到達の起点となっているだけに市場の関心も高いと思われる。