アジア時間概況
米企業業績期待、欧州信用不安の後退期待などで堅調に推移してきた海外の流れを受けて、日本及びアジア株式市場は上昇を見せたが、重要イベント前ということや高値警戒感からの利益確定の動きも出たことから、午後には伸び悩み状態となった。
為替市場も同様で、ユーロはショートカバーで1.30台を回復したものの、アジア筋からの売りが上値で持ち込まれ、押し返された状態。また、下落基調の豪ドルも、RBA(オーストラリア連邦銀行)が洪水被害の影響を見極めるまでは引き締めスタンスに転じる時期を先伸ばしにするかもしれないという思惑に加え、対NZで売りが出たことで0.9900は届かずに失速した。対円でも、日本の個人投資家からの売りが豪ドルの上値を抑える要因となった模様。
本日の主要経済指標
・18:30 英国 : 11月商品貿易収支
・19:00 ユーロ圏 : 11月鉱工業生産
・22:30 カナダ : 11月新築住宅価格指数
・22:30 米国 : 12月輸入物価指数
・24:30 米国 : 週間原油在庫
・27:00 米国 : 10年債入札(210億ドル)
・28:00 米国 : 地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)
・28:00 米国 : 12月財政収支
要人発言、イベント
・17:00 ユーロ圏 : レーン欧州委員の発言
・22:30 米国 : ガイトナー財務長官の発言
・27:00 米国 : フィッシャー米ダラス地区連銀総裁、「金融政策の限界」について講演
・26:00 カナダ : フラハティ財務相
欧米時間の見通し
今日の欧州時間は荒っぽい展開になるかもしれない。
昨日の野田佳彦財務相の言葉も加わり一旦は小康状態となったユーロや欧州株式市場では、金融銘柄のサポートもあり反発が見られる。しかし、実際のポルトガルの入札結果が出てくるまでは、市場関係者も慎重にならざるを得ない。
更に明日にスペインとイタリアの入札を控え、更に今月から春までに大型償還を予定していることを考慮すれば、まだまだ予断は許されない状態。先に述べた野田財務相の発言にある今月末のユーロ圏債の購入に関しても、去年末に欧州共同債券(Eボンド)構想が流れた経緯もあり、果たして合意に至るかどうかも分からないところ。
今週初めにはドイツ側からポルトガルの強制支援の可能性を否定するコメントが出たが、このような構想が依然として継続されていること自体、ポルトガルからの支援要請の可能性があることを示唆してはいないだろうか? いずれにせよ、EFSF(欧州金融安定ファシリティー)に関連する枠組みが確実に合意に至るかどうかについての回答は、来週まで待つしかないだろう。
そう考えると、本日と明日の入札において、現状多少落ち着いているとはいえ国債利回りが上昇したままの結果となれば、ユーロにとっては重しがさらに増すことになり、株式市場では金融関連銘柄は軟調に転じる可能性が出てくる。
そして、3週間後のFOMCに向けて材料視される米地区連銀経済報告が明日早朝に発表される。
先週の米雇用統計の内容に対する意見は様々にあるものの、今週末の小売り売上高に絡んで比較的回復基調に転じている内容となれば、現状行っている金融緩和策第2弾(通常、QE2と呼ばれている)は無事に今年の6月に終了する可能性が高いとの見方へと市場は転じてくるのであろうか。また、今年から投票メンバーが幾人か入れ替わる。イメージとしてはタカ派といわれる面々が加わることになっている。無事QE2終了というシナリオとなれば、米金利上昇圧力が加わる可能性がある。その場合に、ドル円の上値で控えているといわれる本邦実需筋の壁を突破するだけの勢いになるかどうか。
逆に、足踏み状態になっているユーロと豪ドルにとっては、逆風がさらに加わりやすく、1.2500及び0.9600までの下落リスクは想定したほうがよいか。