1月8日、東京・新宿の新宿バルト9にて、『装甲騎兵ボトムズ 孤影再び』のイベント上映がスタートし、キリコ・キュービィー役の郷田ほづみと高橋良輔監督が初日舞台挨拶を行った。
1983年のTVシリーズ放送以降、幅広い層から高い支持を集める『装甲騎兵ボトムズ』のシリーズ最新作3作品をビデオグラム発売に先駆けて、3カ月連続で楽しめる上映イベント「ボトムズフェスティバル」。その第三弾としてラストを飾る『装甲騎兵ボトムズ 孤影再び』は、これまでの2作品とは異なり、シリーズの主人公であるキリコが登場する、TVシリーズから続く「ボトムズ」の本筋を描く作品となる。
『装甲騎兵ボトムズ 孤影再び』を作るきっかけについては、「忘れちゃったんですよ」という高橋監督だが、原作となる小説版を執筆しつつ、「これを映像化すれば、皆さんの思っているボトムズに近いものが出来るのでないかと思い、温めていました」と語る。
今回キリコを演じるにあたって、「その前に『ペールゼン・ファイルズ』を録っていたので、そろそろボトムズの時代がまた来たな」と感じていたという郷田。『孤影再び』では32年間のコールドスリープから目覚めるキリコについて、「僕も眠っていればよかったのですが、順当に年を重ねてしまいました(笑)」と笑顔を見せつつ、「ほかのキャストの方々が、画面の中でも年を重ねているのが少しうらやましかった」という。
そういった意味で、何か同窓会的な雰囲気もある『孤影再び』だが、高橋良輔監督は、「狙いというよりは、結果的にそうなったという感じです。(TVシリーズを制作していた)当時を思い返しますと、ロボット物というのは、企画の段階から一年というのがたいたい決まっておりまして、それはなぜかというと、スポンサーがおもちゃメーカーさんということが多くて、一年放送しないと、その中に出てくる商品が売れないということがありました。今はもうとりあえず13本作って、様子を見てという感じで終ってしまう作品がずいぶん多いですよね。ですから、52本ということを最初から企画できたというのは、とてもいい時代だったと思います。でも、その先があるというのは、やはり考えられない時代で、それが証拠に、自分の作品の中でも、もちろん50本を超えた作品はありますが、次に物が続いているというのは『ボトムズ』だけですので、非常に幸せな作品だと思っています」と語る。
これだけ長く、たくさんのファンからの支持を集める「ボトムズ」だが、その秘訣について高橋監督は、スタッフ・キャストが基本的にかわっていないことを挙げ、「作品を作っていると、作り手にはどうしても自分の考えというものが出てきて、仲が悪くなるというのではなく、物を作るということでの対立ができたりすることがあるのですが、『ボトムズ』に関してはこれまでそういうことがなかった」という。キャストについても、「仮に年をとったとしても、その人の本質が変わるわけではないので、やはり安心感があるんじゃないでしょうか」と推察する。
郷田にとってもキリコは、「ほぼデビューしたときに関わらせていただいた初めてのメインキャスト」ということで、非常に思い入れのある役だと語り、「僕自身もキリコのファンですし、そういう意味で、長く続けていられるというのは僕自身もうれしいですね」と喜びをあらわす。演じ方について、自分自身ではずっと変えていないつもりという郷田。「TVシリーズの最初は、キャラクターを印象付けるために、(高橋監督から)"疲れているようにやってくれ"と言われたので、あんな棒読みになっちゃったんです(笑)」。
『装甲騎兵ボトムズ 孤影再び』で「ボトムズフェスティバル」もラスト。そして『赫奕たる異端』と『幻影篇』の間を埋めるエピソードが公開されたことにより、気になるのは「ボトムズ」の今後の展開。今回の作品で「テイタニアに関しては僕の中ではとりあえず決着をつけた」という高橋監督だが、「『宇宙を飛んでいるのはどうなんだ』というのが、しょっちゅういろいろな手紙にありますので、それに関してはですね、ずっとここ10年考えており、何とか考えもまとまりましたので、あとはチャンスがあれば、ということですね」というファンにはうれしいメッセージも残された。
『装甲騎兵ボトムズ 孤影再び』は、新宿バルト9(東京)、横浜ブルク13(横浜)、梅田ブルク7(大阪)、T・ジョイ京都 (京都)、伏見ミリオン座(名古屋)などで現在公開中。そのほか詳細については、「ボトムズフェスティバル」公式サイトをチェックしてほしい。
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