CESで毎年恒例となっている米Microsoftの前日基調講演が行われ、同社CEOのSteve Ballmer氏が次世代Windowsの情報を一部公開した。既報のとおり、次世代のWindows OSでは、IntelやAMDが提供するx86にくわえて、ARMを含むSoC(System on a Chip)もサポートするというものだ。講演内では、実際にARMシステム上で次世代Windowsを動作させるデモも披露された。
Ballmer氏の講演の内容は、Xbox 360、Windows Phone、そしてWindows OSの話題にいたるまで広範に渡った。Xbox 360では、総出荷数が5000万台を突破したことと、昨年末に発売したKinectが既に800万台に到達するなど、非常に好調であることが報告された。日本市場では苦戦が続くXboxだが、ワールドワイドでは特にKinectのインパクトは大きかったようだ。Windows Phoneでも、Windows Phone 7の搭載端末が拡大し、アプリケーション数も5500を超え日々充実していることなど、世界中で市場が立ち上がっていることが報告された。
ひと通り同社事業の好調を報告したBallmer氏は、続いて、いわゆるWindows 8などの名前で噂されている、次世代のWindows OSについて話題を移した。今回、この次世代Windowsについての唯一最大の発表が、ARMを含むSoCへのサポート拡大である。組み込み向けなどでなく、メインのWindows OSでSoCを、それもARMベースのものまでサポートするという驚きは大きい。タブレットや、もしかしたらスマートフォンの様なモバイル端末でも、Windows OSをそのまま利用することになるかもしれないからだ。
現時点でサポートが明らかになっているSoCは、Intel/AMDのx86ベースのSoCのほか、ARMベースでは、NVIDIAのTegra、QualcommのSnapdragon、Texas InstrumentsのOMAPなどだ。そして、実際に次世代WindowsをSoC上で動作させるデモンストレーションが披露された。それぞれ次世代Windowsが導入された環境で、IntelのAtom系SoCと見られるシステム上でMicrosoft Officeを利用したり、Snapdragon上での次世代Windowsの基本動作の確認、NVIDIA Tegra上でInternet Explorerの描画をハードウェアでアクセラレーションする様子などが公開された。
中央に並んでいるのがデモ機。なお、次世代Windowsとされているが、今回利用されたバージョンでは、UIはWindows 7のものを流用していたので、見た目はWindows 7のまま |
Snapdragon搭載のノートPC型システムでのデモ。ほかにもNVIDIA TegraなどARM系SoCでの各種デモが披露されていた |
Ballmer氏は講演の中で、あらゆる機器でWindows OSを利用できるようになると話しているが、そうなると気になるのがWindows Phoneとの棲み分けだ。コンシューマデバイスで言えば、スマートフォンまではWindows Pheneで、タブレット以上はフルのWindows、といった感じになるのだとすれば、タブレットの市場規模スマートフォン並にならない限り、この発表のインパクトはやや薄くなるだろう。AndroidやiOSに対し、Microsoftの本丸と言えるWindows OSで真っ向勝負という構図になるのか、しばらく目が離せないことになりそうだ。