こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。
今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!
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そんなわけで2011年、あけましておめでとうございます!
……まあ世間的にはそろそろお正月ムードは抜けている頃だと思うのですが、でもせっかくなので何か正月っぽいネタをご紹介したい!――ということで、今回は「ニコニコ伝統芸能」というジャンルを取り上げてみたいと思います。
ニコニコ動画で流行したり、ランキング入りしたりするのは、ボーカロイド、東方、アイドルマスターといった人気ジャンルのほか、アニメ、ゲームなどの、いわゆるサブカルチャーに属する動画がほとんどです。
しかし、その一方で、能や伝統楽器による演奏動画など、日本古来の伝統芸能に関する動画も投稿されており、有名人の登場などによりじわじわと人気を伸ばしているのが現状です。
特にこのジャンルでニコニコ動画を語るのであれば、欠かせない人物がいます。
それは、「藤山晃太郎」。
2年近く前にこの動画でニコニコデビューを果たした藤山氏の本業は、江戸古典奇術『手妻(てづま、和妻とも)』の継承者・手妻師。手妻とは古来より日本に伝わる手品・奇術のことで、手品としての面白さはもちろん、所作の美しさや物語性を持たせた流れなどが魅力の伝統芸能です。
これは説明するよりも、実際にご覧いただければよくわかるでしょう。
「黒うさP」が作曲したボーカロイド曲「紅一葉」を、歌い手の「ヤマイ」が歌い、その楽曲に合わせて藤山氏が手妻を行うという動画。サブカルと伝統芸能が融合した、非常にニコニコ動画らしいコラボといえます。注目すべきは歌詞や世界観に合わせて展開される手妻のストーリー性。繊細な動きから繰り出される奇術の数々には思わず見入ってしまいます。和風バラードな楽曲と手妻がまた、良い感じに合っていますね。
こちらはYouTubeからの転載。東方関連の楽曲を用いて藤山氏が手妻を行っている動画で、その優雅な動き、曲に合わせたストーリー構成などは一見の価値ありです。若手が台頭し始めた新しい伝統芸能の世界では、こうしたコラボが当たり前になっていくのかもしれませんね。
……ところで藤山氏といえば、2010年はこんな動画にも出演していました。
以前にも紹介しましたが、ゲーム「エルシャダイ」のPVを実写で再現した衝撃的な動画に、イーノック役で出演。もはや1ミリも手妻とは関係ないところがミソ。とはいえこの動画で藤山氏を知ったという方も多かったはずで、そこから手妻の方へも人が流れると嬉しいですね。
さて、ニコニコ動画での伝統芸能動画はもちろんこれだけではありません。
アイドルマスターの楽曲「隣に…」を、ニコニコ動画やアイドルマスターの世界からはもっとも縁遠いイメージのある伝統芸能「能」で踊ってみたというのがこちらの動画。とりあえず本格的な舞台に度肝を抜かれますが、次第にその優美な世界観に魅せられることでしょう。……といっても能がわかるユーザーがさすがに少ないのか、動画では「なるほど、わからん」「すごいのはわかるけどどうすごいのかはわからない」といった戸惑い混じりの賞賛のコメントが並んでいます。僕も能は一度見たことはあるのですが……さっぱりわかりません! でもずっと見ているとアイドルマスターの楽曲がすごく合っている気がしてくるから不思議。これもまた、ニコニコらしい伝統芸能の表現と言えるのでしょう。
三味線や尺八といった伝統的な楽器での「東方」の演奏動画も投稿されています。三味線演奏は「杵家七三(きねいえ なみ)」、尺八・笛・能管は「竹井誠」、編曲は「福嶋頼秀」というすごいメンバー! これぞまさに「プロの犯行」ですね。なぜこんな動画が普通に投稿されているのかと思ったら、代理投稿者は先ほどご紹介した藤山氏でした。なるほど、それなら納得です!
ニコニコ動画と伝統芸能のコラボ動画の数々、いかがでしたでしょうか。
こうしてみると、思っていたよりもサブカルと伝統芸能って合うんだなということがわかるはず。そしてそれを表現するのにぴったりなニコニコ動画という舞台。
今後ニコニコ動画の裾野がさらに拡大していけば、今回ご紹介したような新しい形の伝統芸能の世界が花開いていくのかもしれません。
勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ
1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。
(タイトルイラスト:3P3P) ※本コラムで紹介している動画は、作者やサイトなどの都合により削除されることもあります。あらかじめご了承ください。 |