キリンの国産ウイスキー「富士山麓 樽熟50°」
世の中、ハイボールブームである。サントリーのウイスキー「角」をソーダで割った"角ハイ"がブームの火付け役となり、これまでウイスキーに馴染みの薄かった女性や若者もグビグビやるようになってきた。
サントリーの「角」「トリス」。アサヒビールの「ブラックニッカ」。それぞれ国産のウイスキーを使ってハイボール人気を牽引してきた。両社とも「山崎」や「竹鶴」といった大看板があるので、ビール会社でありながらウイスキー会社としての認知度も高い。
そんな中、キリンビールもシェリーやカルヴァドスを使う「世界のハイボール」シリーズ、そして「フォアローゼズ ハイボール」「I.W.ハーパー ハイボール」といった輸入ウイスキーをベースとした缶入りハイボールを発売し、売れ行きは好調という。国産ウイスキー「富士山麓 樽熟50°」も例に漏れずで、缶製品にはなっていないが飲食店でのハイボール需要などの影響から、前年比25%の売上アップとなっている。
さてこの「富士山麓 樽熟50°」、その名の通り本当に富士山麓で造っている。キリンビールのグループ会社である、かつてはキリン・シーグラム、現在はキリン ディスティラリーの富士御殿場蒸溜所で造られている。
キリン ディスティラリーが掲げる理想のウイスキーとは「クリーン & エステリー」。クリーンは雑味がなくまろやかですっきりとした口当たり、エステリーは果物や花を連想させる心地よい香りということ。実際に御殿場蒸溜所を訪れてみると、とても空気が澄んでいて、良品をつくるにはよりクリーンな環境が必要なのだと改めて思う。
「富士山麓 樽熟50°」はモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして造る。モルトウイスキーは、スコットランドから輸入したピート麦芽で造られるいわゆるスコッチウイスキー。グレーンウイスキーは、トウモロコシを主原料とするバーボンウイスキー。これらをそれぞれの樽で寝かせてからブレンドするのだ。こうすることで、ピート(泥炭)で燻した麦芽の独特な香り(例えるなら「正露丸」)を、トウモロコシの甘味がふんわりカバーしてくれ実に調和の取れたウイスキーに仕上がる。