米NVIDIAは5日(現地時間)、CES 2011の会場となっている米国ラスベガスでプレスカンファレンスを開催し、同社社長 兼 CEOのJen-Hsun Huang(ジェンスン・ファン)氏みずからが、同社のモバイル機器向けSoC「Tegra 2」の機能解説を行った。ならびに同催しの中で、NVIDIA初のCPU開発に向けた計画「Project Denver」の存在を公式に表明した。

NVIDIA 社長 兼 CEOのJen-Hsun Huang氏

Huang氏はまず、パーソナル・コンピューティングの進化は、1990年代のPCが2000年代にインターネットを得て変革し、2010年代はモバイル・コンピューティングへと変革し更なる進化を遂げるだろう述べる。そして、NVIDIAが昨年に発表したTegra 2は、このモバイル・コンピューティングに革新をもたらすために開発されたものであることを強調した。

2010年代はモバイル・コンピューティングの時代であると説明

同氏はTegra 2を、PC並のコンピューティング・パワーを備える「モバイル・スーパーチップ」であると表現。このTegra 2を搭載するLG製スマートフォンを紹介しながら、Tegra 2を搭載するモバイル端末は、スマートフォンを超える次世代のスマートフォン、「スーパーフォン」のカテゴリに属するのだとアピールした。

Tegra 2を搭載するLG製スマートフォンを紹介。LGからゲストとしてYongseok Jang氏(Vice President Business Strategy, Mobile Communications Company)も登壇

Tegra 2はFlashのパフォーマンスで5倍速いと、Flashゲームのデモを披露。Adobeの社長 兼 CEOであるShantanu Narayen氏もゲストで登場し、Tegra 2の利点を述べた

Tegra 2の3Dゲーム性能について。デスクトップPCでも……

PS3でも……

そしてTegra 2搭載スマートフォンでも……

同じ3Dゲームを楽しむことが出来てしまうと実演

ひと通りTegra 2の優位性を解説したHuang氏は、カンファレンスの終了間際、MicrosoftがARMベースで動作するWindows OSを開発中であるという"噂"に触れ、突然、「Project Denver」を発表した。なお、ARM向けWindowsでは、米Microsoftが同日、次世代Windowsでは、従来のx86 CPUのみの状態から対応CPUを拡大するとして、具体的にARM等への対応拡大について明らかにしている

MicrosoftがARM向けWindowsを開発中という"噂"。これは、同日中に噂では無くなった

CPU分野への進出の噂が度々話題に上っていたNVIDIAが、ついに初のCPU開発計画として発表したのが「Project Denver」である。Huang氏によれば、Project Denverは、ARMをベースに、同社が新規にアーキテクチャ開発を行うとしており、よくあるランセンスARMでは無いようだ。また、同社の土俵であるGPUが組み込まれたGPU統合型のCPUになることも公表されている。

「Project Denver」を発表。詳細は未だ語られずも、期待は膨らむ

このProject Denverでは、例えばAppleのA4プロセッサ(ARM Cortex-A8ベース)、GoogleのAndroidで主流のSnapdragon(ARM Cortex-A9ベース)、Windows OSのx86(Intel/AMDのモバイルCPU)といった、現在のスマートフォン~モバイルPCあたりまでのCPUに対して、置き換えを狙いたいとの考えがあるようだ。また、HPC分野での利用も視野に入っているとの考えも述べられていた。ただ、今回の時点では、Huang氏の口からProject Denverのディテールについて語られることはなく、詳細は未だベールに包まれたままだと言える。

スーパーフォンからスーパーコンピュータまで、NVIDIAは"Super" Computing Companyを目指す