iPhone/iPad向け電子書籍『乱暴と待機』(450円)は、演劇界で活躍する鬼才・本谷有希子による小説。もともと、自身が主宰・作・演出を手掛ける「劇団、本谷有希子」の第9回公演作品として2005年に上演されたものだ。同年、公演を収録したDVDが発売されている。その後、2008年に本谷有希子が自ら小説化。2010年には浅野忠信・美波主演による映画が公開された。
主人公は、二段ベッドが置かれた陰気な借家に同居する"妹"こと奈々瀬と"兄"英則。奈々瀬は「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々笑いのネタを考え続け、英則は屋根裏に潜んで彼女を覗き続ける……。仲が良くて同居しているわけではなく、二人を結びつけているのは「復讐」。恨む側と恨まれる側という関係だ。
いろいろな事に「気付かないふり」「気付かれていないふり」をして暮らす二人。奇妙なシチュエーションの中で描かれる人間の感情は激しく極端で濃密だ。書籍は単行本および文庫が発売中。