2011年 年頭所感

富士通テン 代表取締役社長 重松崇

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2010年は市場・商品の変化が本格化

2010年は自動車ビジネスを取り巻く環境の変化が本格化しました。新車販売台数はリーマン・ショック以前の2008年レベルに回復しましたが、それは、シェアが50%を超えるほどに急成長している新興国に支えられたものです。中国は最盛期の米国をも抜き世界一の市場に拡大しました。日本の隣国に4倍近い市場が誕生したわけです。しかも、さらなる拡大が見込まれます。

一方、国内では、「HV」「PHV」「EV」など次世代エコカーの普及が本格化、高級車から小型車への流れが加速した年でもありました。

予想を超えた環境変化

このような変化に加え、円高で推移した為替の影響も受け、当社の業績は予想以上に伸び悩みました。2010年度上期(4月~9月)は前年同期比で増収増益を達成したものの、年初予想比では概ね減収減益となりました。根本的な原因として、新興国の台頭、小型車へのシフト、カーナビゲーションシステム市場へのスマートフォンなどを手掛ける携帯キャリアやITメーカーなどの異業種参入といった予想を超えた環境変化に対する備えが不十分だったこと、が挙げられます。これからも、このような変化が後戻りすることなく絶え間なく続くことを認識しておかなければなりません。

成長軌道に向けた取り組み~「守り」と「攻め」の施策を同時に実行~

2011年も非常に厳しい年になりそうです。このような環境変化に対応して、直近の売上・利益を確保しながら、中長期にわたる成長軌道に向けたビジネスの種を仕込んでいかなくてはなりません。そのためには、既存事業のやり方を見直し効率的に仕事を進める=「守り」の施策と、自らの強みを生かして新規事業に着手し推進する=「攻め」の施策、の両方を同時に実行する必要があります。具体的には、開発や生産のムダを無くしグロ-バルに最適化や再構築を行う「守り」のテ-マ、中国事業や情報サービス事業(つながる商品)の強化を行う「攻め」のテ-マを設定・推進していきます。

求められるのは「自立化」

その際、意識したいのは「自立化」です。顧客の要求に従うだけでなく、良きパートナーとして自らの意志や提案をぶつけ、その結果、お互いにWin-Winの結論を導き出せる関係を目指します。

2011年は、そのような意気込みを持って、日本にとどまらず世界の顧客に戦略的なアプロ-チを展開してまいります。