昨日の欧米市場

2011年度の欧米株式市場は好調な出足となった。欧州株式市場は、ロンドン市場がニューイヤーズデーの振替のため休場のため薄商いとなるも、ヘッジファンドによる訴訟が米連邦裁判所により棄却された独自動車大手独ポルシェ(PSHG_p.DE)をはじめ自動車株が堅調な値動きとなったとなれば、米国や新興国の景気回復期待感から今後の需要拡大が見込まれる建設株といった銘柄が相場の上昇をけん引した。

一方、米株式市場も12月のISM製造業景況指数が1年5カ月連続で好不況の分かれ目となる50を上回ったことを受け、市場では米景気回復への期待感が膨らみ、2011年度相場は好調なスタートをきった。

為替市場は、相変わらず欧州債務問題がユーロの上値を抑える展開が継続。一方で、安全資産からリスク資産への資金シフトから資源国通貨買いが鮮明になっており、ユーロの下落を相殺する展開へ。これによりユーロドルは目先のレジスタンスラインと考えられる1.3400をトライする展開も見られた。

一方、ドル円は資源国通貨上昇によるクロス円の堅調な値動きと、米債券利回りも上昇したことによりショートカバー主体の値動きとなり、81円台を維持する展開が継続したまま、2011年初めの東京時間を迎えようとしている。

本日の主要経済指標

・17:55 ドイツ:12月失業率

・17:55 ドイツ:12月失業者数

・18:30 英国:11月消費者信用残高

・18:30 英国:11月住宅ローン承認件数

・18:30 英国:12月PMI製造業

・19:00 ユーロ圏:11月消費者物価指数(速報値)

・24:00 米国:11月製造業受注指数

・28:00 米国:FOMC(連邦公開市場委員会)議事録

要人発言、イベント

・特になし

アジア時間の見通し

株式市場

新年度の日本株は好調な地合いで始まる可能性が高い。直近の米経済指標をみれば、米景気回復は緩やかながらも回復基調を強めている。昨日発表された12月のISM製造業の内容をみると、新規受注は60.9(前月の56.6)、生産は60.7(前月55.0)と共に前月から上昇しており、米株の感応度が特に高い日本株へポジティブな影響を与えるだろう。

また、米連邦準備理事会(FRB)が実施しているQE2(昨日はNY連銀を通して77.9憶ドルの国債買い入れを実施)や日銀の包括金融緩和による流動性相場への期待感も引き続き相場の下支え要因となりそうだ。両中央銀行が喫緊の課題としている雇用環境が依然として厳しいため、短期的には最近の米景気回復期待によるFRBの国債購入額縮小観測が出る状況ではないからだ。実際、12月ISM製造業の雇用指数は55.7(前月57.5)と9カ月ぶりの低水準となっている。

ただ今週のスケジュールを確認すると、今晩はFOMC(連邦公開市場委員会)議事録、明日から金曜日にかけて米雇用関連指標の発表が控えている。また、欧州の債券市場に目を向ければ、ドイツとフランスが5日と6日、ポルトガルが5日に国債入札を行う。これらの結果を見極めたいとの思惑から、過度のリスクテイクは控えられる可能性も考えられる。更に依然としてくすぶり続ける円高リスクも考えれば、目先10400円を上値ターゲットに、買い需要の強さから10200円を割り込んだ水準では引き続き底堅い展開となるか注目される。

為替市場

その為替市場だが、リスク資産への投資が加速していることに伴い商品市場も活況を呈していることから資源国通貨の動向に注目したい。

スポット金は再び1420台へと上昇しており、昨年12月7日に付けた史上最高値1431をトライする状況となっている。また、原油先物価格(2月限)は、26ヶ月ぶりとなる高値水準まで上昇しており、豪ドルをはじめとした資源国通貨への資金流入を促している。

朝方の豪ドル/米ドルをみると、利益確定売りにより1.02台から1.0160台まで反落するも、以前パリティ(等価)価格を上回る水準となっており地合の強さがうかがえる。これを受け豪ドル円も83円台での推移となっており、NZD円やポンド円での底堅さを演出しているだけでなく、欧州債務問題によるユーロ売り圧力も相殺されユーロ円も109円台へと再上昇する展開となっている。本日のアジア株式市場、特に昨日の香港HS上昇のけん引役の一翼を担ったエネルギー関連で引き続き底堅い展開となれば投資家のリスク許容度拡大により、資源国通貨が堅調な値動きとなるシナリオが浮上しよう。

また、李克強副首相がマドリード訪問を前に中国がスペイン国債を購入し続けることを表明したことも、ユーロへのリスク回避姿勢を和らげる可能性がある。同国とドイツ10年債利回り格差は昨年11月30日にユーロ導入以来の最大に拡大し、12月に実施された同国の国債入札でも保証コストが上昇の一途を辿っているだけに、この発言がどの程度ユーロに対するリスク回避を後退されるかも見極める必要があるだろう。

そしてドル円相場だが、クロス円でリスクテイク基調が鮮明となれば、昨日の米債券利回り上昇も重なり、まずはフィボナッチ(80.94-84.51)23.60%の81.78レベルを完全に突破する可能性が高まるだろう。そうれなれば、12月29日以来の82円台を視野に入れた展開となるか注目したい。

豪ドル/米ドル 日足

日本225種株価指数 日足