米Googleが新聞や雑誌の電子配信に向けた動きを活発化させている。すでに「Google eBook / eBookstore」サービスの提供で電子書籍分野への進出を果たした同社だが、次なる目標はApple iPadやAmazon.com Kindleなどで活発化しつつある雑誌コンテンツのサブスクリプション配信で、主にAndroid端末ユーザーをターゲットにしているという。米Wall Street Journalが1月2日(現地時間)に報じている。

間もなく米ネバダ州ラスベガスで家電総合展示会のInternational CES 2011が開幕するが、ここではiPad対抗となるAndroid OSを搭載した多目的タブレットがメーカー各社から多数発表される見込みだ。Googleの新サービスはこうした新デバイス群向けのものになるとみられ、配信プラットフォームを拡大したいパブリッシャー側と、コンテンツ不足でデバイス売上の伸び悩みに苦戦するメーカーの双方を支援するのが狙いだ。

WSJによれば、GoogleはすでにTime WarnerのTime部門のほか、Conde Nast、Hearstといった大手出版社との交渉を進めており、さらにコンテンツ配信にかかわるGoogle取り分を通常の3割からさらに減らし、パブリッシャー側に有利な提案を行っているという。この「7:3」の利益配分はAppleがiTunes StoreやApp Storeで実施しているもので、Googleなどのライバルもそれにならった経緯がある。さらにこの交渉では、Appleが現在行っていないユーザー情報のパブリッシャーへの提供も行う計画が持ち上がっているという。App Store経由でのコンテンツ配信でパブリッシャーが不満に感じていることの筆頭に、サブスクリプション等で必要となる各ユーザーの購読情報が直接入手できないという問題がある。もっとも、個人情報を第三者に開示しないというのはAppleにとっては真っ当な判断なのだが、中間業者が存在することの不利をコンテンツ事業者側が感じているのは事実だ。こうしたニーズのギャップを埋めることで、プラットフォームの立ち上げに有利な状況を築きたいとGoogleでは考えているとみられる。