タオエンタープライズの最新PCケース「Unicorn」は、その製品名に相応しく、本体天面にまるで"一本角"のようにストレージを着脱できる、タワー型のマイクロATXケースだ。まずは見た目のインパクトが大きいが、それ以上にかなりの実用性も期待できる。特にHDDの低価格化が進む昨今、この"一本角"機能の使い道が非常に幅広いのだ。
製品の基本仕様から確認しておこう。本体サイズはW190×D415×H415mm、対応マザーボードはマイクロATXまでで、主素材はスチール。拡張ベイは5インチ×2、3.5インチ×1、3.5インチシャドウ×3、2.5/3.5インチ共用シャドウ×1、そして天面の2.5/3.5インチ共用×1だ。拡張性が高い仕様となっているが、スチール製の頑強なフレームなので、多数のデバイスを装着した際の強度は心配要らないだろう。
背面。拡張スロットは5基まで対応している。電源ユニットのネジ穴は、上下どの位置でも取り付けられるユニバーサル仕様なので、電源ファンの位置は気にする必要が無い |
内部。スチール素材のフレームで剛性は十分だろう。ちなみにマザーボードベースのCPU設置部の裏面はくり貫かれており、CPUクーラーの交換などが楽に行える仕様 |
冷却面では、まずフロントパネルが全面メッシュとなっているほか、標準で前面に12cm×1と8cm×1の吸気ファンを装備。8cmファンは主に3.5インチシャドウベイに取り付けたデバイスの冷却を担う設置がされている。ほか、オプションで背面と底面にも8~12cmの冷却ファンを1基ずつ追加できるので、ハイエンドなグラフィックスカードなどの拡張後の冷却性能も問題ないだろう。ケースの内部スペースも、長尺なグラフィックスカードによるCrossFireやSLIの構成がサポート可能なマージンが確保されている。
3.5インチシャドウベイはスライドする機構だ。HDDの配線や、追加の際などに便利さを実感できる |
拡張カード部は奥行き約305mmの余裕。高性能グラフィックスカードを2枚使ったCrossFireやSLIの構成も可能 |
それでは、冒頭に製品のポイントとして挙げた本体天面の"一本角"、2.5/3.5インチ共用のSATAドックを詳しく見てみたい。SATAコネクタは普段は着脱式のカバーで覆われており、写真を見てもらえばわかるが、これを利用しない際には、USBメモリなど、ちょっとした小物を置いておくスペースとしても便利だろう。カバーを外せば、HDD/SSDといったSATAデバイスを、むき出しのまま直接装着することができる。
使い道としては、テラバイト級の大容量HDDを用意し、持ち運びできるデータストレージとして、複数のPCシステムで使いまわすというシチュエーションが考えられるだろう。最近では1TBのHDDでさえ、秋葉原のPCパーツショップなどで探せば5,000円程度で入手できるので、動画など容量の大きなデータを、データ転送が高速なSATA直結で使いまわせるという利点は大きい。
1台のパソコンを、家族など複数のユーザーで共有するといった使い道もある。PCを複数ユーザー分用意するコストは馬鹿にならないが、HDDだけなら非常に安価。まずはUnicornでハイエンドなPCを1台だけ組んでおけば、後は例えば、"お父さんの持ち帰り残業用HDD"と、"子供が普段使う用HDD"などと、HDDだけを利用者ごとに用意。それらHDDごとにOS環境を個別インストールしておけば、家の中で最高性能のPCを、物理的に違う環境として家族みんなで使いまわせる、といった具合だ。個人が仕事用とプライベート用など、用途別にHDDをわけるといった使い道も有効だと思う。
基本スペックの時点で、設置スペースを抑えられるマイクロATXケースでありながら、高い拡張性能を誇るなど、最新構成のメインマシンとして満足できる自作パソコンを組上げられるのが今回の「Unicorn」である。くわえて上記の例のように、ユーザーそれぞれの"一本角"の使い方次第では、さらに使い道の可能性をひろげることが出来るのが面白い。価格も実売で9,000円程度と手ごろ感があるレンジに収まっており、2011年の自作初めに、創意工夫にチャレンジし甲斐のある1台と言えるだろう。