ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン(GfK Japan)は27日、家電量販店店頭における2010年の調理家電市場販売動向を発表した。対象となった調理家電は、レンジ・トースター類、炊飯器、コーヒーメーカー、調理加熱器具、ジューサー類、ポット類。

2010年1月から11月期の調理家電カテゴリーは、エコポイント制度や猛暑に後押しされた量販店への客足の伸びと、節約志向からの内食ブームとの相乗効果によって、数量前年比6.0%増、金額前年比7.5%増と伸張している。また、内食への関心向上が「せっかくならワンランク上の機能を」という風潮を呼び、「おいしさ」「ヘルシー」「時短」「簡単」「安全」などを訴求軸にした高付加価値モデルが市場全体を活気づけているとのこと。

調理家電市場の牽引役となったのはオーブン電子レンジと炊飯器で、いずれも数量・金額の両面から底固い成長を見せた。オーブン電子レンジは毎月プラス成長を維持し、1月~11月期の前年比は数量9.4%増、金額7.8%増を記録。炊飯器は、1月~11月期の前年比が数量8.0%増、金額10.0%増となっている。

オーブン電子レンジでは、「ヘルシー」という付加価値を最大の武器にした過熱水蒸気(超高温の水蒸気)搭載モデルが徐々に市場へ浸透し、2010年は数量ベースで3割以上を占める安定した地位を築いた。全体の平均価格が3万円弱なのに対し、同タイプは5万円前後という高価格。

三菱電機 IHジャー炊飯器「蒸気レスIH」。左と中央は「NJ-XWB10J」、右は「NJ-XSB10J」

炊飯器では、電磁を利用して発熱するIH方式が炊飯器の7割以上を占め、実売価格5万円以上の高機能モデルが売場や広告で訴求力を強めている。全体に占める数量構成比は11月で5.0%と限定的だが、金額構成比は14.9%と金額ベースでの成長を下支えしている。

ホームベーカリーやエスプレッソマシンは、内食ブームを背景に新たな需要を創出。ホームベーカリーは、調理家電の中でも最も勢いのあるカテゴリとなり、特に2010年はモデルの選択肢が広がったことで勢いを増して1月~11月期の数量前年比は46.1%増となった。エスプレッソマシンは、手頃な価格帯の登場で間口が広がり、1月~11月期は数量前年比68.9%増。簡単にドリンクを抽出できるポーションタイプが大半を占め、「手軽さ」と「高級感」のバランスが需要を刺激しているとのこと。

同社では、調理家電市場は大部分が普及カテゴリであるため、毎年の大幅な市場拡大は見込まれにくく、2010年の来客数増加は特異的なものであり、2011年以降は別の側面から販売を促進する必要があるとしている。