実際にさまざまな名刺を読み込んでみたところ、文字認識の精度はかなり高かった。人間の目で見て読みやすい大きさの明朝体やゴシック体ならば、ほぼ問題ない。ただし、字形とフォントの都合で他の文字に似て見える「千」と「干」のような字については読み取りが難しいようだった。
撮影後、登録ボタンを押してから文字認識が完了するまでは10秒かからない程度だ。大量登録する場合には、文字認識をオフにして画像だけどんどん取り込むということもできる。
認識にミスがあった場合、ソフトウェアキーボードで修正するのだが、修正時には名前や苗字の一部だけの修正でも、まるごと直してしまう方が良い。ひらがなを入力して漢字に変換した後でフリガナの修正画面へ移動するのだが、入力したひらがなを基準にフリガナが自動入力されるため、他の読み方で漢字1文字を修正したりすると、フリガナ修正の手間が増える。
会社名に添えられる「株式会社」や「有限会社」といった文字は、標準で無視する設定になっている。文字の大きさ等の他に、この文字を基準に会社名の判定をしている部分もあるのか「株式会社」等を添えない会社名と役職、姓名を全て同じ大きさで表示している名刺は会社名が読み取れなかった。
文字色については、十分読み取れる範囲であれば問題はないようだ。背景に写真や模様が入っていても、文字に影響していなければ大丈夫だった。一方で、人には読めても機械には読めなかったのが行書体や手書き風フォントなど。名前の最後に装飾で付けられている「。」などは無視してくれたが、クリエイターに多い凝った名刺だと、どこが名前なのかわからなくなってしまうこともあった。
シートフィーダスキャナでは読み取れない変形名刺も、付属のスペーサーにはさめば読み取れる。また、同じくシートフィーダスキャナでは認識されなかった黒字に白文字の名刺も難なく読み取れた。折れ曲がった名刺はできるだけ平らにすれば良く、コーヒーをこぼした名刺でも光をあてて読み取りやすくしてやればOK。なかなか融通の効く感じだ。
もう1つ、シートフィーダスキャナではひっかかった厚手の紙も読み取れるのが嬉しい。レーザープリンタで名刺を手作りするための用紙はかなり厚手だったが、4枚重ねまで挿し込むことができた。通常やりとりされている名刺が読み取れないということはないだろう。