若者や女性を取り込んで巻き起こったハイボールブーム

昨年ごろから巻き起こったハイボールブーム。今年もその人気は衰えることを知らず、市場は一層の賑わいを見せている。飲食店ではサントリーがウイスキー「角」を使った"角ハイ"を猛プッシュしたかと思えば、今度は「トリスウイスキー」の"トリハイ"を訴求。"宅飲み"向けとしては、サントリーやアサヒビールが缶入りハイボールを次から次へと発売してきた。

そんな中、キリンビールが満を持して投入してきたのが缶入りハイボール「フォアローゼズ ハイボール」と「I.W.ハーパー ハイボール」だ。原酒に、世界のメジャーブランドウイスキーであるアメリカ・ケンタッキー州産バーボンウイスキー「フォアローゼズ」と「I.W.ハーパー」を使用。香り高く、飲みごたえのある本格的な"大人のハイボール"に仕上がっている。

「フォアローゼズ ハイボール」(左)は、花や果実を連想させる香りやなめらかな味わいが特長の「フォアローゼズ」をベースに使用。「I.W.ハーパー ハイボール」(右)には雑味がなくスッキリ感のある「I.W.ハーパー」を使っている。両商品の発売後1週間の出荷数は、合算で約10万ケース(1ケース: 250ml×24本入り換算)で絶好調とのことだ

ハイボール人気の理由の1つには、ウイスキーに馴染みの薄かった若者や女性の取り込みに成功したことが挙げられる。キリンビールも今年2月に、20代をターゲットにした「世界のハイボール」シリーズを発売。カルヴァドスやシェリーといった樽熟成のアルコールをベースにした"一味違うハイボール"に仕上げ、シリーズ累計出荷数は11月末時点で170万ケース(1ケース250ml缶×24本入り換算)を超える人気シリーズに成長した。

ウイスキー愛飲者の"大人"をターゲットに

しかし、今回の「フォアローゼズ ハイボール」と「I.W.ハーパー ハイボール」は、30代~50代の"大人"がターゲット。その理由について同社広報部は、「ハイボール市場が拡大し続ける中、ハイボールとして飲みやすいだけでなく、従来からハイボールやウイスキーを愛飲してきた年齢の方にも満足していただける飲み応えを追求して、今回の商品を開発しました」とコメントしている。

なるほど、確かに本格的な飲みごたえが楽しめる両商品なら、ウイスキー愛飲者も満足させることができるだろう。メジャーブランドならではのウイスキー本来の香りをいかし、同社チーフブレンダーが最適なブレンドを施すことで、飲みやすさと飲みごたえの両立を実現。また、「程よい炭酸感にこだわった」という爽快な飲み心地で、バーで飲むような上質なハイボールといった印象を受ける。

しかしながら、ここで素朴な疑問。キリンのウイスキーといえば、国産ウイスキー「富士山麓」が有名だ。なぜ、「富士山麓」のハイボールを発売しなかったのだろうか。その点については、「今回は世界のメジャーブランドを使うということが第一にあり、まずはバーボンウイスキーで人気のある『フォアローゼズ』と『I.W.ハーパー』を使用することにしました」とのこと。「富士山麓」や、スコッチウイスキーの商品化については、今回の2商品の反響を踏まえて考えていくという。

「フォアローゼズ ハイボール」と「I.W.ハーパー ハイボール」は、コンビニエンスストア限定で販売中。アルコール度数7%、350ml缶のみの販売で、市場実勢価格は各198円前後となっている。自分でハイボールをつくるのもいいが、手軽に飲むなら缶入りタイプ。年末年始の集まりなどにも大活躍してくれそうなアイテムだ。