ソフトバンクモバイルが主催する「S-1グランプリ」で初代年間チャンピオンに輝いたお笑いコンビ「NON STYLE」は23日、さいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市)にて単独無料ライブを行った。コント、漫才や井上裕介の新曲ライブを盛り込んだ内容で、来場者は3時間にわたる公演を楽しんだ。

今年3月に行われたS-1 グランドチャンピオン2010で頂点に立ったNON STYLE。優勝賞金の1億円は「ファンのために、笑いに還元する」ことをかねてから公言していたが、その思いがこの日の無料ライブ「NON STYLE NON COIN LIVE in さいたまスーパーアリーナ」に結実した。

ぎっしりと埋まった客席

来場者数は1万2千100人。関係者によると、1万人を越える観客を集めて無料ライブを行ったのは吉本興業でも初めてだという。新作漫才を5本用意し、コントや映像作品、井上のソロプロジェクト「Day of the legend」などを織りまぜた。さいたまスーパーアリーナが、2人の紡ぎ出す笑いの渦に包まれた。

それぞれのコントには関連性があり、つなげていくとひとつの話になる趣向だった

歌唱中、ワイヤーで宙に舞う井上(写真右)

終演後、プレス向けに囲み取材が行われた。石田明は「疲れ切ったが、井上がワイヤーで浮いた瞬間に疲れが吹き飛んだ」と記者団を笑わせた。3時間やっても、客席の集中力が最後まで途切れていないことが伝わってきて、逆に感動したという。井上は「歌った記憶しか残っていません。芸人で、さいたまスーパーアリーナで歌ったのは僕だけでは」と満足そうな表情だった。

1億円を使い切ったのか気になるところだったが、井上によると「通常、この会場でライブをやるには2億円かかる。方々に頭を下げて、1億円で何とかやらせてもらった」のだという。2人には1円も入っておらず、この日もノーギャラだった。石田は「正直、6000万円くらいで足りると思っていた」と話し、実家の母親が「とりあえず家の借金を返してからだろう」と激怒しているエピソードを明かした。

最後に2人は「これまで長いことお笑いをやってきて、こんなに達成感のあるイベントはなかった。本当に、やって良かった。2011年につながるような1年になった」と締めくくった。ライブの模様を収録したDVDが来年3月9日に発売される予定。