昨日の欧米市場

主要な欧米株価指数は、総じて上値追いの展開へ。朝鮮半島情勢の地政学的リスクが後退したこと、銅価格が新興国の経済発展に伴い需給がひっ迫するとの思惑から史上最高値を更新したことで、欧州株は引き続き資源株が相場を牽引した。特に英FTSE100は、2008年6月以来となる高値水準まで上昇する展開となった他、ドイツ30種株価指数も2008年6月1日以来となる7100台を視野に入れた状況となった。

一方、米株式市場も企業マインドの改善や金融セクターのM&A絡みの話題が引き続き材料視され、ウォール街株価指数、米SPX500共に終始堅調な値動きが継続。また、米大手ソフトウェアアドビ・システムズ(ADBE.O)の好調な業績も投資家のリスク選好度を拡大させた。

為替市場は、ユーロの弱い地合いが継続。王岐山副首相が中国/欧州連合(EU)ハイレベル経済貿易対話の中で、ユーロの債務問題への支援を表明したことを受け一時ユーロが買い戻されるも短期筋の売買材料とされるにとどまり、ギリシャやポルトガルの格下げリスクへの懸念から欧米勢はユーロ売りを継続。対ドルで1.3100、対円で110.00のラインを2日連続で割り込む展開となった。

一方、ドル円はユーロドルとユーロ円の動きに挟まれ83円を中心にこう着状態。米債券利回りの上昇圧力が和らいでいることでドル買いの支援要因が一つ消えたこともあり、84.00がレジスタンスとして意識される状況が続いたまま、本日のアジア時間を迎えようとしている。

本日の主要経済指標

・08:30 豪 : 10月ウェストパック先行指数

・08:50 日本 : 11月通関ベース貿易収支

・14:00 日本 : 金融経済月報(基本的見解)

・16:00 ドイツ : 11月輸入物価指数

・18:30 英国 : BOE(英中央銀行)議事録(12月9日開催分)

・18:30 英国 : 3Q総合事業投資(確報値)

・18:30 英国 : 3QGDP(確報値)

・18:30 英国 : 3Q経常収支

・21:00 米国 : MBA住宅ローン申請指数

・22:30 米国 : 3QGDP(前期比年率/確報値)

・22:30 米国 : 3Q個人消費(確報値)

・22:30 米国 : 3QGDP価格指数(確報値)

・22:30 米国 : 3QコアPCE(確報値)

・24:00 米国 : 11月中古住宅販売件数

・24:30 米国 : 週間原油在庫

要人発言、イベント

・ギリシャ議会 2011年予算案採決

アジア時間の見通し

本日の為替市場も引き続きユーロの動向を睨みながらの展開となりそうだ。大手格付け会社フィッチ・レーティングスが投資適格級で最も低い「BBBマイナス」となっているギリシャの外貨建てソブリン格付けを更にジャンク級まで引き下げる方向で検討していると発表する一方、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスもポルトガル国債の格付けを最大で2段階引き下げることを示唆する等、格下げリスクへの懸念は和らぐ気配がまったく感じられない。

また、昨日実施されたスペイン国債(3カ月物、6カ月物)の入札でも、目標額30億ユーロの調達には成功したものの、最大目標額40億ユーロに届かず借り入れコストが上昇した。15日にはムーディーズ・インベスターズ・サービスが同国の信用格付けを引き下げる方向で見直すと表明しており、格下げの伝染リスクが本日のアジア市場でも材料視される可能性が高い。

ユーロドルは、既に目先のサポートポイントと思われた1.3100を2日連続で破られたことから1.3060(12月2日安値)が次のターゲットとして浮上している。1.3050-60レベルには買いオーダーが並んでいるとの観測もあり、底堅い展開となるようなら、一度ユーロショートカバーが入る可能性もある。しかし、債務危機の伝染リスクに加え1.3400の重さを既に確認している投資家が、積極的なユーロ買いへ転じる可能性は低く、むしろ1.30ミドルレベルを一気に下抜け1.3000割れトライのムードが強まっている点に注視した方が良いだろう。

ユーロ円についても同様で、こちらも109円ミドルレベルが次のターゲットとして浮上している。目先の下値ポイントは109.57(12月7日安値)。12月20日は109.58でユーロ売りが止められたことから変則的なダブルボトムを形成しているが、底堅い分破られた時の反動も大きくなる可能性がある。特にクリスマスシーズンで市場が薄くなっており、思わぬオーバーシュートから一気に108円台へ突入する荒れた展開となるリスクがある点には注意した方が良いだろう。

日本225種は、引き続き底堅い展開となるか注目。朝鮮半島情勢の緊張緩和と欧米株式市場の堅調な値動きは本日も支援材料となる可能性がある。

確かに海外勢の買いは減少しているが、予想外に国内勢からの売りも少ない。また、国内の機関投資家に日本株運用を縮小する姿勢も見られないことから、個人投資家の中小小型株物色が継続すれば、10400円を目指すトレンドは継続しよう。

気になるのはクロス円での円高圧力が強まっていることだろう。特にユーロ円で109円ミドルレベルを破られた場合、リスク回避から豪ドル円やポンド円でも売り圧力が強まる展開が考えられる。そうなればドル円は84.00をレジスタンスに下値を模索するシナリオが浮上し、主力輸出関連株の圧迫要因となる可能性が出てくる。

ただ、反落しても現在の地合いを考えると押し目買いにより下値も限定的になる可能性が高い。特に10200円以下での需要は根強いため、円高リスクが高まりは、むしろポジション再構築の格好の材料とされるのではないか。