iOS 4でデビューした新機能の1つにリッチ広告配信システムの「iAd」がある。その特徴のひとつはHTML5+CSS3+JavaScriptをベースにした業界標準フレームワークを採用しているという点だが、デザイナーや開発者の側では、このフレームワークを使ってリッチな広告を制作するノウハウやツールがないことが問題となっていた。そこで、こうしたクリエイティブを支援すべくAppleがリリースしたのが、「iAd Producer」だ。

iAd Producer

iAd Producerはページ遷移などを把握しながら広告クリエイティブが簡単に作成できるビジュアルツールだ。基本コンポーネントやページテンプレートなどがあらかじめ用意されており、これらをビジュアルツール上で組み合わせながらiAd広告を構築していく。各種アニメーションやエフェクトなどもデフォルトで用意されており、デザイナーがプログラミングなしである程度要素を組み立てられるほか、より高度なプログラミングが必要な開発者には専用のJavaScriptエディターが用意されている。

Appleのクリエイティブ審査の厳しさから広告のリリースが遅れたり、撤退が報じられたりしているiAdだが、同時にデザイナーや開発者の側で大きな課題となっていたのがツール整備だ。すでにiAd開始から半年が経過しており、ある程度のノウハウは蓄積されつつある。今回のiAd Producerのリリースと日本を含むiAd配信地域の拡大で、iAdのプラットフォームとしての魅力を高めていくことが目標となるだろう。この背景には、同種のクリエイティブ制作のツール市場で大きなシェアを持つAdobe SystemsやFlashへの対抗もあるとみられる。