昨日の欧米市場

欧州株式市場はほぼ横ばいの水準で推移。米景気回復期待を背景にリスク資産への需要は根強いものの、スペイン国債の入札(10年債、15年債)で応札利回りが上昇したことにより金融株が軟調な地合いへ。また、米政府がメキシコ湾の原油流出事故に関連し、BP(BP. L)を含めた5社に対して損害賠償訴訟を起こしたことや商品相場の下落を受け、資源セクターでも軟調な地合いとなり欧州株式市場の上値を圧迫した。

一方、米株は新規失業保険申請件数の減少と12月のフィラデルフィア連銀指数が2005年4月以来の高水準となる24.3と強い内容だったことを受け投資家のリスク選好姿勢が継続。 米SPX500は再び1240台の水準へ上昇。ウォール街株価指数も一時11500を上抜ける場面も見られた。

為替市場は、引き続き米金利の動向を睨みながらの展開となった。スペインの債務問題がユーロの上値を圧迫し、対ドルで一時1.3200を割る場面も見られた。しかし、米株の上昇に伴い投資家の資金がリスク資産へシフトし始めると米金利への低下圧力が強まり、米10年債利回りは3.50%を割り込んだ。これを受け、市場はドル売りへと転じ、ユーロドルは1.3240台まで買い戻される展開となっている。

ドル円もテクニカル的に84.50が意識され、84円を中心にボックス相場が継続したまま本日のアジア時間を迎えようとしている。

本日の主要経済指標

・09:01 英国:BOE(英中央銀行)金融安定報告

・18:00 ドイツ:12月IFO景気動向

・18:00 ドイツ:12月IFO現況評価値

・18:00 ドイツ:12月IFO予想値

・19:00 ユーロ圏:10月建設支出

・19:00 ユーロ圏:10月貿易収支

・24:00 米国:11月景気先行指標総合指数

アジア時間の見通し

為替市場は引き続き米金利の動向を睨みながらの展開となりそうだ。昨日の米経済指標も市場予想を上回る強い内容となった。特に米新規失業保険の申請者数が減少したことは、米連邦準備理事会(FRB)が喫緊の課題としている米雇用情勢の改善期待へとつながり、投資家の資金を完全資産からリスク資産へ促す要因となろう。もちろん米景気回復期待は金利上昇圧力につながりかねない側面もあるが、債券市場から株式市場へと資金シフトする流れが変化しない限り、そして米金融緩和策(QE2)による国債購入が継続している状況では、米金利の上昇は限られるのではないか。仮に予想外に米金利が上昇するようなら、FRBは国債買い入れの増額も検討する可能性も考えられるため、今回の上昇は一過性のトレンドになる可能性がある。

とするなら、目先、ドル円は84.50を超えることがより困難となる可能性が高まる。実際、昨日もこのレベルをトライしたが失敗し、84.00割れの場面も見られた。仮に突破しても次に控えるレジスタンスポイントは心理的節目の85.00。新たな材料が出てこない限り、年内は米金利に左右される状況が続く可能性があり、ドル円の上値余地は限られるのではないか。

また、ユーロドルでの上値の重さからユーロ円での円高圧力がドル円の上値を抑えるシナリオも考えられる。17日まで開催される欧州連合(EU)首脳会議の行方に市場の注目が集まる中、ムーディーズ・インベスターズ・サービスはスペインの信用格付けに続きギリシャの現地通貨/外貨建て国債の『Ba1』から引き下げる方向で見直すと発表した。相次ぐ債務国の格下げは、この問題の根深さを象徴しており、積極的にユーロを買い進める状況でないことをあらためて市場に印象付けるだろう。

ユーロドルは現状1.3200がサポートラインとなっているが、1.31ミドルレベルではストップ優勢と観測されており、ヒットすればユーロ売りが一層加速しよう。そうなればその影響はユーロ円へ波及し、クロス円全体で上値の重い状況となる可能性も考慮しなければならないだろう。

そして日本の株式市場は引き続き、米株と為替の動向に左右される状況となりそうだ。日本225種は米景気回復期待を背景に堅調に推移している。しかし、ドル円が84.50レベルで上値が抑えられる状況が続いていることに加え、クロス円でもにわかに円高圧力が強まっていることを受け、上値の重い展開となりそうだ。また、高値警戒感も依然強く、欧州債務問題を巡るEU首脳会議の行方を見極めたいとの思惑やクリスマスシーズンが近づき、海外勢の動きが鈍くなりフローが細くなっていることも上値の圧迫要因となろう。

ただ、直近の米経済指標が好調な内容を維持していること、新興国市場から先進国への資金シフトが継続していること、そして来年に向け日本株の組み入れ比率を落とし過ぎたファンドが再び日本株買いへ転じるとの観測もあり、下値も限られるだろう。目先のレンジは引き続き10200-10400を想定したい。

ユーロドル 日足

日本225種株価指数 日足