昨日の欧米市場
欧米株式市場は共に下落。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペインの信用格付け「Aa1」を引き下げの方向で見直すと発表したことで、投資家のリスク選好姿勢が後退。欧州株式では銀行株での売りをきっかけに、同じ景気敏感セクターの資源株全般でも利益確定売り優勢の展開となり相場を圧迫。
米株は米経済指標の好結果を受け序盤は底堅い展開となったものの、スペイン債務懸念の他、米金利上昇が上値の圧迫要因となり徐々に売り圧力が強まる展開となった。
一方、為替市場ではスペイン格下げの可能性と米経済指標の好結果を受け米景気回復期待から金利が上昇したことで、投資家の資金がドルへとシフトする流れが強まった。対ユーロでは1.32前半、対円ではレジスタンスポイント84.40を上抜け、一時9月27日以来となる84.50レベルまで上昇した。その後は利益確定売りにより反落するも、ドル買い基調が継続したまま、アジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・17:15 スイス : 3Q鉱工業生産
・17:30 スイス : SNB(スイス国立銀行)政策金利発表
・18:30 英国 : 11月小売売上高
・19:00 ユーロ圏 : 11月消費者物価指数
・22:30 カナダ : 10月国際証券取扱高
・22:30 米国 : 11月住宅着工件数
・22:30 米国 : 11月建設許可件数
・22:30 米国 : 3Q経常収支
・22:30 米国 : 新規失業保険申請件数
・24:00 米国 : 12月フィラデルフィア連銀指数
要人発言&イベント
・17:20 英国 : ポーゼンMPC委員の発言
・その他 ECB理事会(金利発表無し)
EU首脳会合(17日まで)
アジア時間の見通し
明日のスペイン国債(10年債、15年債)入札を前に、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペインの信用格付け「Aa1」を引き下げの方向で見直すことを発表したことで、市場ではスペインに対する伝染リスクへの懸念が強まっている。域内4番目の経済規模を持つスペインの資金調達の不透明感から生じる影響は、債務問題にあえぐ他の国にも及んでおり、昨日3カ月物短期証券(Tビル)入札を実施したポルトガルでは落札利回りは前回の入札から大幅に上昇した。
今回の格下げの背景の理由として、資金需要ひっ迫の懸念が指摘されており、リスク回避からユーロを圧迫している。クリスマス休暇を控え商いが薄いことから、ユーロの下値は限定的との見方もあるが、昨日の下落スピードを見ると商いが薄い分、かえって値が飛び易い地合いともなっている点には注意が必要だろう。対ドルで1.32を割り込んだ場合、欧米株式市場でのリスク回避も合わさり一気にユーロ売りが加速し、1.3164(12月9日安値)を下抜け、2週間ぶりに1.30台が視野に入る可能性も出てくる。
そして本日の日本225種では、この為替の動きを睨んだ展開となりそうだ。ドル円は目先のレジスタンスポイント84.40をブレイクしたものの、その後が伸びない。仮に84円ミドルレベルを突破しても、その先には心理的節目85.00、そして今年後半の最大のレジスタンスポイントと思われる86.00のラインが控えている。
直近のドル円の動向を見ると、節目と思われるポイントでは上値を抑えられる場面が多く見られた。今回も84.50や85.00といった節目を意識した展開となれば、対ユーロや豪ドルでのドル買いの勢いが円相場全体へと波及し、クロス円を中心に円高活力が強まることも考えられる。そうなればドル円にも下落圧力がかかり、円高懸念から主力の輸出関連株を中心に売り先行の展開となる可能性が強まろう。
ただ、昨日の米株では下落がみられたものの、経済指標を見る限り『景気の二番底』懸念は市場で急速に後退している。この米景気回復期待が薄れない限りは、日本225種の底堅いトレンドも継続するのではないか。高値警戒感から利益確定売りとなっても、目先10200円を維持できるならば、新たな買い場を探る展開と考えるのも面白い。