インテルは12月13日、今年最後となる記者向け定例会見を開催した。同社代表取締役社長の吉田和正氏が登壇し、一年を振り返る毎年恒例の"10大ニュース"を発表、同社の2010年を締め括ったほか、2011年に向けての展望を語った。
吉田氏は2010年を、経済状況は引き続き厳しかったが、そのような状況の中でも、これまでに無いほど新しい取り組みを行った年であったと振り返った。同社は今年の初めに、すべてのデバイスがインターネットを通してつながり、継続して市場を形成して行く「コンピュート・コンティニュアム」というビジョンを発表。その実現のために、「インテルの日本法人としても、業界が『元気になってきたな』と思えるきっかけがつくれればと、様々な挑戦した年であった」と語った。そして同氏は、その主なものとして、2010年の"10大ニュース"と銘打ったトピックスを発表した。
その"10大ニュース"の中でも、核となったのはCoreプロセッサ製品だとされた。「Coreプロセッサは日本市場で爆発的にヒットし、これは我々が思っていたよりも普及が進んだ」(吉田氏)。デスクトップはもちろん、モバイルでもCore i7/i5製品が急速にシェアを伸ばし、日本でCore製品中心の市場が出来上がっていったというデータが示された。吉田氏は、「日本のユーザーはプロセッサに付加価値を見出してくれた。我々が取り組んできたことにユーザーが応えてくれた」と、喜びを語った。
そして吉田氏は、そのCoreプロセッサの第2世代の製品となる「Sandy Bridge」世代のプロセッサについても言及した。Sandy Bridgeは同社の「チック・タック」戦略に基づき、アーキテクチャを刷新した世代で、より付加価値の増した性能の高さをアピール。「これが来年いよいよ登場する。2011年の1月にSandy Bridgeを発表できる予定だ」(吉田氏)とされた。
また吉田氏は、「2010年はWiMAXも忘れられない」とする。同氏は、「WiMAXが日本で立ち上がるかどうかは非常に重要だった。今では搭載PCや基地局も増え、順調に普及している。世界で見ると日本の進み方は非常に早く、日本の展開が世界のモバイルに影響を与えるだろう」とし、WiMAXが同社にとって引き続き注力分野であることを強調した。
2009年に大きく投資が減り、厳しかったエンタープライズ分野も、2010年は新製品を積極的に投入するなどし、需要もかなり戻ってきた年であったことがアピールされた。関連するスーパーコンピュータの分野においても、先日の最新TOP500のランキングで、Xeonプロセッサが存在感を示したことが紹介された。この分野では今後、「エネルギーとテクノロジとのトータルソリューションで、エコを含めたもっと大きな展開が期待できる」(吉田氏)と、同分野にはさらなるチャンスが存在することが語られた。
ほかにも、Atomプロセッサの展開において、スマートフォンや組み込み分野の伸びが大きく、その流れがさらに加速するであろうことや、日本の優れたパーソナルヘルスケア機器をIT活用でもっともっと強くできるのではないかという思いから、これに非常に注力したことなど、冒頭の「新しい取り組みを行った年」という言葉のとおり、吉田氏の話は多岐に渡った。
会見の終盤、話題は2011年の展望についてのものとなった。吉田氏は、「2010年のPC市場は伸びた。前年比ユニット数で言えば10%の成長があった。だからと言ってこれを維持しようと考えるのではなく、2011年は2010年以上に全力で走り続ける」。そのために、「投資についても、厳しい2010年に22nmへの投資があったように、継続的な成長を維持するためでなく、リーダーシップを発揮していくための投資をする」。さらに、「2011年のインテルは提案型のソリューションを展開したい。インテルの日本法人の生み出せる付加価値とはなんなのかを考えなければならないだろう。2011年はもっとメーカーと協力して、もっともっと良い製品を出していく必要がある」と語っていた。