【今日のCFD】英国FTSE100株価指数

来年のグローバルレベルでの対鉱物資源投資が2008年の金融危機前のレベルにまで回復する、とのコンセンサスが主に資源系セクターで浮上している。情報筋によると、来年の全世界での対鉱業投資は2008年の1100億ドルを超える1150億~1200億ドル規模と見込まれている。増加を牽引しているのは、現在の資源需要ブームの波に乗るべく開発に力をいれているブラジルのValeや豪Rio Tinto, Xstrata等の大手鉱山会社である。

Rio Tintoのトム・アルバネーゼ最高経営責任者(CEO)が最近、鉱業分野で急速に伸びている需要とそれに伴う鉱物資源価格の高騰に対し同社は「成長」でもって応えていくと発言したことからもうかがえるように、需要に供給を追いつかせようとする産業界側の思惑が、来年の資源開発と拡大を更に加速させる公算が市場で強まっている。

また、エネルギーの分野でも、米石油大手Chevronが前年比20%増の約260億ドル規模の設備投資を予定していると発表したことを筆頭に、世界の主要石油ガス企業が設備投資と開発に約1000億ドル(前年比12%増)を費やすとの見方も浮上してきている。

同様の動きは、重機関連や農業セクターにもみられ、こうした一連の動きの根底にあるのは、中国その他の新興市場が牽引する経済の回復と、それに伴う企業の設備投資だ。

更に、今月頭に米シンクタンクのIHS-CERAが発表したところでは、2008年以降では久しぶりに直近6カ月間、企業による原油やガス設備関連支出が上向いており、ポジティブさに華を添える格好だ。

世界的金融危機の再燃を示唆するような暗いニュースが多い中、多くの景気敏感株(鉱山株、エネルギー株)を構成銘柄として採用しているFTSE100にとって、これら上昇モメンタムの話題は今後もポジティブに影響する可能性が高い。

しかし、短期的な視点からは、資源開発に使用される重機やサービスの供給が既にギリギリの状態にあると言われているだけに、需要と供給のアンバランスさがマイナス要素となる可能性も否定できない。開発に必要な設備機器や関連部品、産業用火薬類の生産が追い付かなくなることも考えられ、リードタイム(発注から納品までの時間)長期化や労働力の不足によるプロジェクトの遅延、ひいては全体的なコスト騰貴がシナリオとして考えられる。

つまり、設備投資の活況は資源開発関連サービスを提供する企業にとっては収益拡大の機会となるものの、実際の鉱山会社サイドの収益性低下を引き起こし、このセクターに期待する投資家らに冷や水を浴びせ、一度利益確定売りの流れとなる可能性があることも念頭に入れておきたい。

テクニカル面でも、一度反落する可能性がることを示唆する形状になりつつある。目先の上値ポイントは5900のラインと思われるが、5902(11月9日高値)が意識されダブルトップ形成となれば、ボリンジャーバンド(MA25 σ2.0)中心線まで一度反落してもおかしくはないか。

この中心線が破られた場合は、中期トレンドチャンネル下限が次のターゲットとして浮上する。すぐ下にはボリンジャーバンドの下限や11月に反転の起点となった5519(11月30日安値)がサポートポイントとして意識される可能性もある。短期的には5500台での底堅さを想定したい。

ただ、5500を下抜ける下落となっても、長期トレンドチャンネルが破られない限り、英FTSE100の上昇基調は継続する可能性が残る。

英国FTSE100株価指数 日足