昨日の欧米市場
欧州株式は続伸。11月の米小売り売上高が市場予想を上回り、5カ月連続で伸びを示したことを好感し、投資家のリスク選好姿勢が強まった。英FTSE100指数は、エネルギー株が相場の上昇を牽引し、2008年6月以来の高値水準まで上昇。英蘭系大手石油会社ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)がBP(BP.L)に対し買収を検討しているとのうわさも材料視された。
一方、米株も強い米経済指標の結果を好感し序盤から買い優勢の展開へ。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文でも前回を踏襲する内容だったことから反応は薄く、引き続き米景気回復期待を背景に底堅い展開が継続した。
為替市場は米金利の動向に左右される状況となった。欧州タイムは米金利の低下からドル売り優勢の展開へ。ユーロドルはレジスタンスポイント1.34ミドルレベルを突破するとストップをヒットし、心理的節目1.3500目前まで上昇した。その後、米FOMCで声明文が発表されたものの目新しい材料もなかったことから米金利が上昇。これをきっかけにドルを買い戻す動きが一気に強まり、1.3360レベルまで急落。
ドル円も同様に売り買いが交錯するも、レンジで見れば83円を中心としたボックス相場の域を出ず、本日のアジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・08:30 豪 : 12月ウェストパック消費者信頼感
・08:50 日本 : 10月第三次産業活動指数
・08:50 日本 : 4Q日銀短観 大企業製造業業況判断
・08:50 日本 : 4Q日銀短観 大企業非製造業業況判断
・08:50 日本 : 4Q日銀短観 大企業製造業先行き
・08:50 日本 : 4Q日銀短観 大企業非製造業先行き
・10:30 豪 : 11月新車販売台数
・17:30 スウェーデン中銀政策金利
・18:30 英国 : 11月失業率
・18:30 英国 : 11月失業保険申請件数推移
・21:00 米国 : MBA住宅ローン申請指数
・22:00 ノルウェー中銀政策金利
・22:30 米国 : 11月消費者物価指数
・22:30 米国 : 12月NY連銀製造業景気指数
・23:00 米国 : 10月ネットTICフロー合計
・23:00 米国 : 10月ネット長期TICフロー
・23:15 米国 : 11月鉱工業生産
・23:15 米国 : 11月設備稼働率
・24:00 米国 : 12月NAHB住宅市場指数
・24:30 米国 : 週間原油在庫
要人発言&イベント
・09:00 オーストラリア : デベルRBA副総裁の発言
・22:25 米国 : ロックハート : アトランタ連銀総裁、講演
・その他 ECB理事会(政策金利発表はなし、16日まで)
アジア時間の見通し
注目された年内最後の連邦公開市場委員会(FOMC)は、目新しい材料もなく、成長や雇用創出を支援するため来年6月まで6000億ドル規模の国債買い入れを継続する方針を再確認する内容だった。これで12月の2大イベント、中国の利上げ見送りと米FOMCを通過したことで、金融市場は米中の景気回復期待と先進国による金融緩和を背景にした流動性相場が市場のメインテーマとなりそうだ。
7日連続で続伸した欧州株や、リーマンショック前の水準まで値を戻してからは底堅い展開を継続している米株の動向を好感し、本日のアジア株でもリスクテイクが継続するか注目される。特に中国が利上げを見送ったことで資源系セクターが活況を呈しており、引き続き相場の牽引役となりそうだ。
日本225種は米中の景気回復期待を背景に10300レベルで底固めに入るか注目される。ドル円の動きが多少荒いのが気になるが、株式市場でのリスクテイク継続を反映しクロス円は円安基調を維持しているため、輸出関連株でも堅調な値動きとなれば5月18日高値10388をトライの可能性も強まろう。出遅れ感を背景に新興国から先進国への資金シフトが継続していることも、日本225種の下支え要因として注目しておきたい。
為替市場は、株式動向を睨みながらの展開となりそうだ。昨日の米FOMC以降の米金利動向を見ると、金融緩和継続による米金利低下よりも米景気回復期待への注目が集まり、米金利への上昇圧力は継続している。本日のアジア株式でも米中景気回復期待を背景にリスクテイクが継続すれば、安全資産からリスク資産への資金シフトを促す可能性が一層強まる。そうなれば、ドルが再び買い戻されるシナリオが浮上しよう。
ドル円は、目先84.00を回復するか注目。仮に83.00割れとなっても82円ミドルレベルでのドル買い需要が根強く、急激な円高になる可能性は低いか。また、株式市場でのリスクテイク継続はクロス円での底堅さへと繋がっているため、アジア株が堅調な値動きとなれば、円高懸念は後退する可能性が高い。
一方、ユーロドルは1.35レベルまで上昇したものの、引き続きアイルランドやポルトガルの債務問題がスペインへ波及する伝染リスクが投資家の不安心理を誘発しており、市場ではポジション調整の範囲内との声が聞かれる。株式市場への資金シフトによる米金利の上昇や、16日に実施予定の10年債と15年債入札を控えスペイン国債の利回りが上昇し続けていることもユーロの上値を抑える要因となろう。目先の上値ポイントは引き続き1.34ミドルレベル。下値は1.3200を想定しておきたい。