金融庁は14日、融資の返済条件の変更要請に応じる努力義務を金融機関に課す「中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)」について、2011年3月末までの時限立法である同法を、1年延長すると発表した。
「中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)」は、前金融・郵政改革担当大臣で国民新党代表の亀井静香氏が制定に尽力し、同氏が金融・郵政改革大臣当時の2009年12月4日に施行された。融資の返済条件の変更要請に応じる努力義務を金融機関に課すことを内容としている。
現在の金融・郵政改革大臣である自見庄三郎氏は国民新党の副代表だが、同党代表の亀井氏は、弊誌マイコミジャーナルのインタビューに対し、同法を延長させる意向を示していた。
金融庁では、我が国経済について、「このところ足踏み状態にあり、中小企業者などの業況や資金繰りは改善しつつあるものの依然厳しく、こうした中、先行きの不透明感から、今後、貸付条件の変更などに対する需要は一定程度ある」との基本的な考え方を示している。一方、「貸付条件の変更などに際しては、金融規律も考慮し、実効性ある経営再建計画を策定・実行することが重要である」としている。
このため、モラトリアム法を機に、「金融機関が貸付条件の変更などを行っている間に、コンサルティング機能(※経営相談・指導、事業再生など)を十分に発揮することで、中小企業者の経営改善が着実に図られ、中小企業者の返済能力の改善と将来の健全な資金需要につながる、という流れを定着させる必要がある」(金融庁)と判断。
これらを考慮し、金融庁では、2011年3月末に期限を迎えるモラトリアム法を1年間延長することを決定、自見庄三郎大臣が14日の会見で明らかにした。また金融庁では、その運用に当たっては、(1)これまでの実施状況を踏まえた金融機関の開示・報告資料の大幅な簡素化や、(2)金融機関による経営再建計画の策定支援などのコンサルティング機能の発揮の促進、といった点について改善を加えるとしている。
金融庁では、モラトリアム法の改正案を、年明けの通常国会に提出する方針。