【今日のCFD】NY原油先物1月限
中国人民銀行(中央銀行)は10日、預金準備率の0.5%の引き上げを発表した。同準備率の引き上げはこの1カ月間で3回目、今年に入って6回目となる。当局によるインフレや不動産バブルを招いている金余り現象(過剰流動性)の解消へ強い意思が感じられ、一時市場では11月の急落相場が再び起こるのではと強く警戒されたが、この件に関しては市場がある程度織り込んでいたこともあり反応は限定的なものに留まった。
しかし、11日に発表された中国経済指標の内容は、11月消費者物価指数は前年比+5.1%(予想+4.7%)、11月生産者物価指数は前年比+6.1%(予想+5.1%)、そして1月小売売上高は前年比+18.7%(予想+18.7%)となり中国国内のインフレが加速していることが確認できた。週明けアジア時間では、エネルギー市場をはじめ今のところ目立った反応は見られない。しかし米景気回復期待が相場を下支えしている側面も考慮すれば、今日の欧米市場でも反応が限定的となると考えるのは早い。
もっとも需給面では強気のデータが出てきており、中国の金融政策が材料視されても調整の範囲内にとどまる可能性の方が現状高いか。
国際エネルギー機関(IEA)が12日発表した12月の石油市場月報によれば、2010年の世界石油需要見通しを日量8630万バレル(前年比+1.7%)、2011年も日量8877万バレル(前年比+1.5%)としている。特に今年の世界の石油需要増加はOECD加盟国以外が中心で、アジアの非加盟国が半分以上の伸びを占めると説明した上で、世界全体の需要の伸びの3分の1が中国だと指摘している。
その中国税関総署が10日に発表した11月の貿易統計では、原油輸入量は前年同月比で27.6%増に達していたことが判明。更に9日に中国自動車メーカーの業界団体中国汽車工業協会から発表された2010年の新車販売台数でも、前年実績比+30%の1800万台に達する見通しとなったことが発表された。特に後者の自動車販売に関しては、2年連続で米国を抜いて世界最大市場となるだけでなく、米国販売がピークだった2000年の約1740万台を抜いて、一国の年間販売台数として史上最多となる点に注目したい。なぜなら、10月の利上げなど各種のインフレ抑制策が導入されているが、少なくとも石油需要には目立った影響が生じていないことが、これらの統計から確認できるからだ。
また、11日には石油輸出国機構(OPEC)総会が開かれ、原油の生産目標を現状の日量2485万バレル(イラクを除く11ヶ国)に据え置くことを決定した。ロイター通信によれば、OPECのバドリ事務局長は、価格が1バレル100ドルに上昇してもOPECは増産には踏み切らないとの見方を示したことも、エネルギー需給ひっ迫懸念を想起させる可能性もあろう。これらファンダメンタルズの状況を総合的に考えれば、上述したように中国関連の材料で急落しても、それは来年に向けてのロングポジションを構築する絶好の機会となる可能性の方が高いか。
テクニカルで見ても、上昇基調のトレンドチャンネルに綺麗にはまっていることがわかる。 また、ボリンジャーバンド(MA20 σ2.0)の中心線を一気に上抜け、1バレル=90.00ドルに到達した経緯も考えるなら、基調は強気相場であることが窺える。
目先の上値ポイントは、この90.00ドルを突破できるかどうかだが、ダブルトップ形成により一度調整売りの局面へ入っても、12月10日の下落時には87.00レベルでの底堅さも確認済み。この時の下値87.11レベルを下抜けた場合は、90.75-80.29の38.20%戻しが86.76に位置していることを考えるなら下値も限定的か。
パラボリック・リバースが86.57レベルにあることも原油相場を下支えする可能性もある。