インターネット広告市場で圧倒的シェアを誇るGoogleだが、その勢いはモバイル広告市場でもライバルを大きく凌駕するようだ。Googleはモバイル検索広告のシェアではすでに他を大きくリードしているが、今後Androidプラットフォームの拡大で、バナー等のディスプレイ広告の領域でもAppleらライバルを大きく引き離す可能性が高いとアナリストらは指摘している。
このGoogleのモバイル市場での躍進を指摘しているのは、All Things DigitalでDigital DailyのBlogを執筆しているJohn Paczkowski氏だ。このモバイル広告に関するデータはもともと調査会社の米IDCのアナリストKarsten Weide氏がまとめたもので、Bloombergが詳細なデータを報じている。調査データは2010年の米国でのモバイル広告のシェアに関するもので、同年の市場規模予測は8億7700万ドルで、そのうちの59%のシェアをGoogleが占めているという。Appleは8.4%、Yahoo!は5.6%、Microsoftは4.3%となっており、Googleが前年2009年の48.6%から大幅にシェアを躍進しているのに対し、Yahoo!とMicrosoftはともに数%のダウンと大きくシェアを減らしている。つまりモバイル広告におけるシェアはAdMob買収を完了させたGoogleが圧勝という状態ということだ。
だがPaczkowski氏によれば、IDCの調査では検索を軸とした「テキスト広告」とバナーを中心とした「ディスプレイ広告」の2つを組み合わせた数字であり、検索分野で圧倒的シェアを持つGoogleが有利になりやすいと指摘している。一方でディスプレイ広告の分野に限定したベンダー間シェアは、Googleが19%、Appleが18.8%、Millennial Mediaが15.4%、Yahoo!が10.1%と僅差で接戦状態であり、いまだ勝者が決まっていないという(グラフはDigital Daily Blogに掲載)。だが前述IDCアナリストのWeide氏によれば、今後Androidのシェアや領域が拡大していくことで差が開き始め、Googleが接戦状態のディスプレイ広告の市場でも圧倒的地位を築くのは時間の問題であると予測している。それがいつのタイミングかは不明だが、過去1年のAndroidの大躍進を考えれば、そう遠くない将来だといえるかもしれない。