預金保険機構は7日、同日開催された運営委員会において、2010年9月10日に破綻した日本振興銀行について、預金等債権の買取り(概算払)を行うことなどを決定した。
破綻した日本振興銀行の預金について金融庁では、「預金者一人当たり元本1,000万円までとその利息の合計額について、預金保険制度により保護される」とし、それを超える部分とその利息については、「民事再生手続の下で作成される再生計画に従って弁済が行われることとなるが、預金者の利便性を確保する観点から、預金保険制度の概算払制度により、預金保険機構が早期に概算払率に基づく払戻しを行う予定」としていた。
預金等債権の買取り(概算払)とは、破綻した金融機関の預金のうち、預金保険で保護される範囲を超える部分について、預金保険機構が定める概算払率を乗じて算出した概算払額を倒産手続における弁済金・配当金の受取りより前の早い時期に預金者に支払うため、当該預金等債権を買い取る制度。
概算払率は、預金保険法において、破綻した金融機関について破産手続が行われたならば弁済を受けられると見込まれる額(破産配当見込額)などを考慮して決定することとされている。
預金保険機構は7日、日本振興銀行に係る概算払率について、「25%」と決定。今後、買取対象となる預金を有する預金者全員に、預金保険機構から預金等債権買取通知書・請求書等を郵送する。
預金保険機構は、買取りを希望する預金者から買取請求書などの郵送を受けてから1週間程度後をめどに、概算払額を預金者が指定した預金口座に振り込む。
買取期間は2010年12月13日~2011年3月31日まで。預金者は、その期間内に預金保険機構に郵送で書類が到着するようにする必要がある。
なお、日本振興銀行からの借入れがある場合には、預金と借入金とを相殺することができる(借入れに対する保証をしている場合も同様)。預金保険で保護される範囲を超える部分の預金を持つ人は、「相殺により預金の一部カットを免れたのと同様の効果を得られることになる」(預金保険機構)。
相殺を行うには、預金者が所定の手続に沿って意思表示する必要があるため、預金等債権の買取りを請求する前に、まず日本振興銀行に問い合わせる。預金保険機構では、「預金等債権買取請求を行うと、買取対象の預金は借入金等と相殺できなくなる」として、注意を呼びかけている。