iPad向けの初の4.xソフトウェアアップデートである「iOS 4.2」の提供が開始されたばかりだが、一部ではすでに「iOS 4.3」の12月中旬リリースの噂が広がっている。「何をそんなに急いでバージョンアップする必要があるのか?」という意見もあるかもしれないが、これ自体は荒唐無稽な話というわけでもなく、12月9日に発表が噂されているNews CorporationによるiPad専用日刊紙「The Daily」で必要なニュース紙面のプッシュ配信機能を付与するアップデートになるのだという。
「The Daily」は現在News Corp.が最注力事業の1つとして準備を進めているプロジェクトだ。「iPad専用の日刊紙」が最大の特徴で、噂レベルでは何度も話が伝えられてきたが、ここにきて複数のメディアが関係者によるコメントと媒体の詳細を説明し始めており、12月中のベータ版提供、2011年初頭の月額4.25ドルでの正式版有料配信開始というのは、ほぼ既定路線とみられる。
このNews Corp.のプロジェクトはAppleと密に連携して動いていることも伝えられており、正式発表の折にはApple CEOのSteve Jobs氏とNews Corp. CEOのRupert Murdoch氏がステージに登場して大々的にお披露目を行うのではないかとの予測があった。これを裏付けるかのように、Daring FireballのJohn Gruber氏は自身のBlogで「12月9日にAppleがプレスイベントの開催を予定しているという話を聞いている」との話題を投稿しており、このThe Dailyで提供される記事配信システムが、iTunes Storeの仕組みそのものを利用した初のサブスクリプション採用事例になるのではないかと予測している。
こうしたなかで登場したのがiOS 4.3の噂だ。iOSの新ビルドに関する噂はMacStoriesが報じている。iOS 4.2からのリリース間隔が非常に短いため、めぼしい新機能が新たに搭載される可能性も低く、もしiOS 4.3が実際に12月中旬の時期にリリースされるのであれば「The Daily」の発表を明確にターゲットとしたものである可能性が高くなる。そのためiOS 4.3アップデートの内容はバグフィクスのほか、このiTunesサブスクリプションとプッシュ配信システムサポートが中心になるとみられる。
MacStoriesではiOS 4.3のリリース時期を12月13日と報じているが、iOS 4.2が当初のリリース予定から1週間近くずれ込み、最終的にiOS 4.2.1と別のバージョンで11月22日にリリースされたことを考慮に入れれば、このiOS 4.3のリリースもスケジュールがずれ込む可能性があると指摘している。同様のスケジュール遅延話は前述のGruber氏も指摘しており、同氏はiOS 4.3の話題については触れていないものの、12月9日(木曜日)のスペシャルイベントは翌週の火曜日または水曜日以降にずれ込む可能性があるとコメントしている。
いずれにせよ、The DailyとiOS 4.3の正式リリースにおいては、発表会の1週間前から数日前には両社から正式予告されることになるだろう。