初の"完成品"パソコンとして知られる「Apple I」が、英国ロンドンにあるクリスティーズ・オークションで11月23日(欧州時間)に13万3250ポンド(21万3600ドル、約1755万円)で落札された。米Apple初の製品となるApple Iは各種マニュアル類とともに現CEOのSteve Jobs氏によるサインが記された販売契約書も添えられている。発売が開始された1976年7月当時、666.66ドルの値がついていた初期のコンピュータは、30年以上の月日を経て記念すべきアンティークとしてその姿をとどめている。

オークションに出品されたApple I

Appleの会社設立は1976年4月で、同年7月にApple Iの販売は開始された。トグルスイッチによるインターフェイスを採用し、組み立てキットの形で販売されていた当時の"パソコン"である「Altair 8800」に対し、Apple Iは外付けキーボードおよびディスプレイとなるテレビ装置が必要なことを除き、ほぼ完成した回路ボードとして提供が行われていた。このApple Iは一定の成功を収め、後に大ヒット商品となる6502プロセッサアーキテクチャを踏襲してキーボードとケースを付与した「Apple II」の登場へとつながった。Wikipediaによれば、Apple IはApple IIが登場して以降も、値下げされた状態で1977年8月まで販売が続けられたという。

今回のオークションの内容はクリスティーズのサイトで確認できる。落札価格は10万~15万ポンド(約1,340万~1,970万円)と想定されていたが、最終的にはその範囲の上限に近い水準で落札となったようだ。問題は誰が落札したかという点だが、米New York Timesがイタリアの新聞Affaritaliani.itの内容を基に報じたところによれば、落札者はテクノロジー関連の物品収集が趣味のイタリア人ビジネスマンMarco Boglione氏だという。歴史的価値だけでなく、もともとのApple Iの販売期間が1年と短いことから製造数自体も200台以下とされており、非常に貴重なものとなっているため、コレクションとしての価値も非常に高いようだ。