食材保存の王道「冷凍保存」にも弱点あり
おうちごはんで食費を節約する基本は、
- 安く買う
- 安く買ったモノをムダにしないように保存する
- 安く買って保存したモノを「美味しく」食べ切る
の3つです。
この3つは、食費節約の「いろは」。実行すれば、必ず食費は減ります。さて、今回は、この中でも「(2)安く買ったモノをムダにしないように保存する」をテーマにします。食費節約の「いろは」のうち、言うならば「ろ」に当たる部分です。
食材保存の定番といえば、なんと言っても「冷凍」。肉は1回に使う分ずつを小分けにし、魚は1切れずつ、ラップでピッチリ包んで冷凍室へ。小分けするのは、買ったままの分量ごと冷凍すると、全体がかたまりになり、使用する際に全部、解凍することになるから。発泡トレーのまま冷凍室に入れるのもNG。発泡トレーは熱伝導が悪いので、凍るまでに時間がかかり、食材の劣化につながります。ラップでピッチリ包むのは、冷凍室内は乾燥しているので、食材のパサつき防止と、空気に触れることによる酸化=腐敗を防ぐことにあります。
野菜の冷凍は下茹でして、やはり小分け冷凍。ねぎは使いやすいように刻んでから、しょうがは1回分にカットしてから……というのが、よく紹介されている冷凍保存法です。
確かに、冷凍すれば、肉魚でも1カ月くらい日持ちしますが、食材保存の鉄板ルールの「冷凍」にも、いくつかの弱点があります。
- 長持ちするのをいいことに安心し過ぎて、気がついたら冷凍化石化して元も子もなくなる。
- 小分けしたり、下茹でしたりする手間が面倒。
- 肉魚を解凍する際、ドリップと呼ばれる汁と一緒にうまみも出てしまう。
- 電子レンジで解凍する場合、ちょっとした加熱時間のオーバーで部分的に煮えてしまうことがある。
- 冷凍→解凍した肉魚は、なんとなくまずそうで食べる気がしない。その上、解凍する手間を考えると、冷凍している肉魚があっても、つい新しい肉魚を買ってしまう。
- 野菜の場合、シャキッとした食感は損なわれるので、みそ汁の具かおひたしにしか使えない。
など。
塩をパラリだけで、日持ちが断然良くなる
そこで、オススメしたいのが塩、酒、しょうゆ、酢で下味をつけて、冷蔵保存する方法(チルド室など、冷蔵室の中でも低温の場所で保存するのがオススメ)。
「味つけ冷蔵保存」のメリットには、次の点があります。
- 調味料に含まれる塩、アルコール、酢酸には、菌の繁殖を抑える働きがあるので、そのまま冷蔵するよりも、日持ちがグッとよくなる。
- 下味がついているので、肉魚はそのまま焼くだけで1品完成。
- 肉魚の生臭さを取る働きをする。
- 野菜は塩漬け、甘酢漬けにしておけば、そのまま食べられる副菜になる。
しかも、保存容器に入れて、調味料を振りかけるだけなので簡単です。
ベースは塩+酒。どんなメニューにも対応可能
味つけのパターンは次の4つ。
塩+酒
↓
塩+酒+しょうが
↓
塩+酒+しょうゆ
↓
塩+酒+しょうゆ+しょうが
「塩+酒」なら、煮物、焼き物、炒め物はもちろん、カレーやトマト煮込み、クリームシチューなど、どんなレシピにも対応できます。
写真1は、豚のロース肉を「塩+酒」に漬けて5日目ですが、変色などの劣化なし。
写真2は、消費期限1日前に、40%引きで買った岩手産「奥州鶏」の胸肉。約300g=234円のお買い得品です。それを一口大に切って、塩+酒+しょうがに漬けたもの。朝、フライパンでソテーすれば、お弁当のおかずが1品完成です。ゆずこしょう、しょうゆ、めんつゆ、ポン酢など日替わりで味付けを変えれば、1週間分のおかずの1品になります。
最初は「塩+酒」にしておき、2~3日経っても使わないようなら、しょうゆを足して、さらに日持ちさせることも可能です。「塩+酒+しょうゆ+しょうが」まで味をつけておけば、1週間くらいは持ちます。ここまで下味をつけておけば、あとは粉をつけて、油で揚げれば、メインおかずのから揚げの出来上がり。「味つけ冷蔵保存」は、保存と調理の下ごしらえの一石二鳥のメリットがあります。冷凍保存では、こうはいきません。
野菜は浅漬けやピクルスに
野菜を長持ちさせる場合も、味つけ保存がオススメ。きゅうり、キャベツ、白菜、にんじん、かぶ、大根などを適当な大きさに切って、ビニール袋に入れ、塩をパラリ。ビニールの袋ごと軽くもみます。刻んだ大葉やしょうがを入れるとさらに美味。1日漬けると、野菜から水分が出るので捨てます。
もうひと手間かけて、酢 : 砂糖=3 : 2+塩少々に漬ければ、即席ピクルスに。2~3日で食べごろになります。
味つけ冷蔵保存なら、肉魚に下味がつけられ、野菜はすぐに食べられる副菜になります。つまり、食費節約の「いろは」の「は」=安く買って保存したモノを「美味しく」食べ切るもクリアできるというわけです。
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