東京金融取引所は22日、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」の取引を開始した。同日にはプレスセミナーと上場記念式典が開催された。
くりっく株365は、日経平均株価と海外の株価指数を対象としたシンプルな差金決済取引(CFD)。日本と世界の株式の相場状況を表す株価指数(インデックス)を対象とした売買が可能で、株式の個別銘柄を選ぶ必要がなく、株式市場の全体的な方向性を予想して投資する。取引期限がなく、反対売買されなかった取引はロールオーバーされるほか、レバレッジ効果により資金効率の高い取引が可能となる。また、携帯電話などのモバイル端末にも対応し、インターネット環境があれば場所を問わずいつでも簡単に取引画面にアクセスできる。
個々の業者が提供する「店頭CFD」とはいくつか異なる点があり、(1)レバレッジが市場の価格に応じて変動し概ね20~30倍程度(店頭CFDは2011年1月より上限10倍)、(2)税金は一律20%の申告分離課税・他の上場先物との損益通算可能・3年間の損失繰越控除可能(店頭CFDは最高50%の総合課税・他の上場先物との損益通算不可・3年間の損失繰越控除不可)―など、レバレッジや税金の面で優遇されている。
また、取引成立方法は完全マーケットメイク方式を採用し、マーケットメイカーから提示される価格から、最も安い売り価格(もしくは最も高い買い価格)がリアルタイムで提供されるとのこと。そのため、投資家はその時点で最も有利な価格で取引を行うことができるという。
くりっく株365の「日経225証拠金取引」では、取引時間が午前8時30分から翌暦日午前6時までと、ほぼ24時間の取引が可能。現物の株式市場や「日経225」を対象とする先物取引に設定されている前場や後場といったセッションもない。また、海外の主要株価指数(DAX / FTSE100 / FTSE 中国 25 / FTSE TWSE 台湾50)を円建てで取引できるので、為替レートを気にすることなく取引することができる。
同取引所は2005年7月に「くりっく365」を上場し、11月19日時点の口座数は29万5,757口座、直近6カ月でも毎月1万2,000口座程度の増加を続けており、順調に拡大を続けている。こうした「くりっく365」の"成功"から、 (1)マーケットメイカーによる公正で有利な価格、(2)20%の申告分離課税・損益通算・損失3年繰越―といった「くりっく365」の強みを継承した株価指数商品を提供するに至った。
上場時からの取引参加社はインヴァスト証券、カネツFX、スター為替証券、豊商事、岡三オンライン証券、コスモ証券、マネックス証券の7社。また、マーケットメイカーは大和証券キャピタル・マーケッツ、ドイツ証券の2社。今後は、1日あたり取引数量2~3万枚の早期達成を目指すほか、取引参加者の拡大、米国・アジアなど人気の高い株価指数の追加上場、マーケットメイカーの拡充などに取り組みたいとしている。
東京金融取引所代表取締役社長の太田省三氏は、上場記念式典の挨拶で「くりっく365と同じ種類のものとして設計した。今日の上場まで構想段階を含め2年半かけ、様々な可能性を追求してきた。身近で簡単に少額から投資できる新しい『くりっく株365』上場により、投資の選択肢広がるのでは」と述べた。