昨日の欧米市場
先週末の欧米株式市場は、強弱まちまちの展開へ。
アイルランドの債務問題をめぐり市場の不透明感は根強く、金融セクターを圧迫。また、中国の預金準備率引き上げにより商品相場が下落したことで、資源セクターでも上値の重い展開となり、欧米株式の上値を抑えた。米市場関係者の注目を集める米SPX500は、1200の節目を完全に抜け切ることができない状況が継続した。
為替市場でも、アイルランド問題を巡る思惑からユーロの売り買いが交錯。
欧州タイムは、アイルランド問題解決へ向け一歩全身したことを好感しユーロ買い基調が継続し、対ドルで1.37台、対円では114円台まで上昇。
しかし、NYタイムに入るとアイルランド問題の先行きを見極めたい投資家の思惑に加え、中国の預金準備率引き上げが材料視され、徐々にユーロ売りの展開へ。ユーロドルは1.37ミドルレベルで上値が抑えられた。
本日の主要経済指標
・22:30 米国 : 10月シカゴ連銀全米活動指数-
・24:00 ユーロ圏 : 11発消費者信頼感(速報値)
・27:00 米国 : 2年債入札(350億ドル)
要人発言
・17:30 ユーロ圏 : レーン欧州委員の発言
・25:00 ユーロ圏 : トリシェECB総裁の発言
・27:30 米国 : コチャラコタ : ミネアポリス連銀総裁、講演「金融政策、労働市場、不透明要因」
アジア時間の見通し
日本225種は、日米の金融緩和を受け、流動性を背景に堅調に推移していることを背景に約5カ月ぶりに1万円の大台を回復し、地合いの強さを窺わせている。
ただ、アイルランド問題が他の欧州債務国(スペイン、ポルトガル)へ波及するとの懸念が根強い中、中国の預金準備率の引き上げ(今年5度目の引き上げ)により、月内にも中国の金融引き締めが行われるとの観測が市場で台頭しつつあることは、景気敏感セクター(金融、資源系)や中国関連株の上値を抑える要因となる可能性があるだろう。
また、日本株の上昇を牽引しているのが、グローバルファンドを中心とした海外勢ということもあり、11月の決算期を前に一度ポジションを手仕舞う動きも活発化し易い。11月2日の安値から約10%近く上昇したことで市場には過熱感が出ていることに加え、アイルランド問題の先行きを見極めたいとの思惑も見え隠れしており、本日は上値の重い展開となる可能性がある。
一方で、ドル円が83円台を維持、クロス円も堅調に推移していることで、急激に売り圧力が強まる可能性も低いか。目先、下値が1万円を維持できるかどうか、上値は6月21日以来となる10200円の水準へ到達できるかどうかが注目される。
為替市場は、アイルランド問題の対処を巡る思惑をメイン材料に売り買いが交錯する展開となりそうだ。
市場では既に欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)による救済を織り込みはじめており、あとは具体策がどのタイミングで発表されるかが焦点となっている。それまでは、ユーロが対ドル、対円で底堅い展開となる可能性があるだろう。
ユーロドルの上値ポイントは、1.37ミドルを上抜けるかどうか。15日よりこのレベルがレジスタンスポイントとして徐々に意識され始めている。一方、対円では115.00の心理的節目が再び焦点として浮上しつつある。11月4日、5日とこの水準をトライするも上値を抑えられたが、このラインを突破でれば115.50レベルが次のターゲットとして浮上する可能性が高まる。
ただ、この問題はアイルランド一国だけの問題ではなく、同国への解決策が示さることで他の欧州諸国(スペイン、ポルトガル)への伝染リスクの懸念が払拭されることを意味しない。従って、解決策が発表された後は、材料出尽くし感から再びユーロの上値が重くなる可能性もあり、まずは上述したレジスタンスポイントを目安に過度の上値追いには注意した方が良いだろう。
また、米長期金利との正の相関性が若干崩れつつあることで、ドル円も底堅く推移する可能性が高い。
米金利上昇を背景にドルが買い戻される展開が続いていたが、先週は米金利が低下してもドルが底堅く推移する場面(16日)も見られた。更に19日は、米連邦準備理事会(FRB)が超長期債(2028年8月から2040年11月の間に償還)を購入したことから10年債利回りが低下したにも関わらず、ドル円は83円ミドルレベルを維持する状況が続いている点にも注目するなら、83.00をサポートに84円を目指すトレンドに変化はないと思われる。