ビジネスシーンにおいて、部署やプロジェクトチーム単位でデータベースを共有したい場面が少なからずあるだろう。そんな時に便利なのが、ファイルメーカーの共有機能だ。計10人までならサーバを用意しなくても簡単に共有、かつ同時にアクセスすることが可能。この機能を利用した作品が、2009年のファイルメーカー選手権銅賞を獲得した「神経衰弱」だ。

2009年の銅賞受賞作品「神経衰弱」

ファイルメーカーはご承知の通りデータベースソフトだが、応募作品の中にはゲームを楽しめる作品が何点か寄せられていた。この作品もその一つで、内容はタイトルの通り誰もが知っているトランプゲーム。しかし、そこに共有機能とチャットがうまく組み込まれていたことがこの作品の評価のポイントとなった。

共有機能を試してみよう

では、実際に共有を行う手順から見てみよう。前提として、データベースを共有するPCにはファイルメーカーがインストールされ、会社や家庭内など同一のネットワークに入っている必要がある。始めに、1人のユーザーがテンプレートのファイルをダブルクリックして起動。この際、ファイルメーカー本体のメニューから「ファイル→共有設定→FileMaker ネットワーク」で、「ネットワーク共有」の項目をオンにしておく。

参加する全てのPCで「ネットワーク共有」の項目をオンにする

他のユーザーはファイルメーカー本体のみを起動し、メニューの「ファイル→開く」から「共有ファイル」を選択。「ホスト」から先にテンプレートを開いているユーザーを選択すると、「使用できるファイル」に「Sinkeisuijaku」が表示されるので、これを開く。この手順は他のテンプレートで共有を行う場合も同じだ。

後から参加するユーザーは個別にファイルを開かず「共有ファイル」を開く

ゲームのエントリー画面が開いたら、各ユーザーが「ゲームに参加する」ボタンをクリックして名前の入力・アイコンの選択を行い、エントリーする。親となるユーザーが「ゲーム開始」をクリックすると、他の参加者の画面ではユーザー欄に「スタート」ボタンが表示される。これをクリックすれば、スタンバイ完了だ。親ユーザーは最後に「スタート」をクリックし、エントリーを締め切る。画面下段にあるチャット画面では、エントリー中のユーザー同士で会話ができるようになっている。

エントリーしたユーザーは「スタート」ボタンを押して待機

親がエントリーを締め切ると、カードが並べられゲームがスタートする。ここからは誰でも説明不要で楽しめるだろう。ゲーム中には他のユーザーのプレイがリアルタイムで画面に反映される。また、ゲーム画面にもチャット機能が実装されており、対話をしながらゲームを楽しめる。ゲームの世界では当たり前の話だが、これをビジネスに例えると、在庫管理データベースを共有するとで全員が常にリアルタイムで最新の在庫状況を確認しながら仕事ができるということだ。

親(左)と参加者(右)のゲームスタート画面

チャットしながらデータを共有できる機能は、応用の幅も広そうだ

ビジネスにエンタメに、さらなる活用に期待

このゲームそのものは古典的な内容なので特別な面白さがあるわけではないが、共有機能をフィーチャーし、さらにチャット機能を搭載することでエンタテインメント性を高めた作品になっている。これらの機能はビジネス用途にも応用の幅が広いと思われるので、機能を試してみたい人向けのデモ作品としても最適だ。ぜひ、様々な利用シーンへアイデアを広げて頂きたい。

なお、受賞時の審査評において、Windows版FileMakerで起動するとカードをめくった際に画面がちらつくことが指摘されていたが、新バージョン「FileMaker Pro 11」では問題が解消されている。