TVアニメの新しい方向性を示すべく、2005年4月にフジテレビが"連ドラのようなアニメ"をコンセプトに設立した深夜枠"ノイタミナ"にて、2011年1月よりオリジナルTVアニメ『フラクタル』が放送される。
同作品は、『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『かんなぎ』などで多くの話題を呼び、川島海荷、金田哲(はんにゃ)主演『私の優しくない先輩』(7/17公開)で実写映画へも進出した山本寛氏(通称"ヤマカン")が監督を担当。山本氏初のオリジナルTVアニメシリーズとなるが、その製作決定時に「もうアニメは駄目かも知れない」「これが失敗すれば引退も辞さない」といった言葉を連ねた衝撃的な「声明」を発表するなど、まさに不退転の決意を持って挑む注目作となっている。
そこで今回は、そんな山本氏に加えて、主人公・クレイン役の小林ゆう、フリュネ役の津田美波、ネッサ役の花澤香菜、エンリ役の井口裕香、スンダ役の浅沼晋太郎が語った本作へのメッセージを紹介しよう。
「初のオリジナルなので頑張ります。以上」と言葉少なめに本作への意気込みを語る山本監督の言葉で始まった今回の会見。「どこにでもいらっしゃる、とても受身で素朴で、草食系の心優しい少年」と自らが演じる主人公・クレインの役どころを説明する小林ゆうは、「とてもナチュラルな芝居を求められている」とのことで、「クレイン君とピッタリ一緒に歩いていけるように、今、一生懸命頑張ってやらせていただいています」との意気込みを述べる。山本監督の作品には初めての参加となる小林。監督への印象については、「すごくうれしいのと同時に、身が引き締まる思い」と姿勢を正しつつ、「監督さんはいつもスーツで(現場に)来てくださいます。すごくシュッとされていて、一瞬あまり近づけないようなオーラをお持ちになられていたのですが、すごく話してくださるし、(収録の)休み時間にもいろいろとわからないことを教えてくださるなど、すごく親切にしていただいています」と収録現場での様子を語った。
ヒロイン・フリュネについて「最初にいただいた資料を見たときは、おっとりした、どちらかというと大人しめの女の子を勝手にイメージしていた」という津田美波だが、一話、二話のアフレコを通して、「実は感情表現が豊かで、泣いたり笑ったりとっても忙しい子」と、フリュネへの印象が変わり、その役どころの難しさを感じていると説明する。
「体力を使う役ですが、同時に元気がもらえる」と自らが演じるネッサについて語る花澤香菜。TVアニメ『かんなぎ』などで山本監督作品に出演している花澤だが、今回の作品では、これまでとは違う山本監督の気合を感じており、「私も身が引き締まる思いです」とネッサ役にかける意気込みをみせていた。
「エンリは、敵味方でいうと敵側ですが、すごくおバカで賑やかしい感じの役なので、とても楽しく演じさせていただいています」という井口裕香。「物語の奥が深く、いろいろな仕掛けがあるのですが、そのひとつひとつを毎回アフレコがスタートする前に説明してくださるので、作品への理解が深まった」と作品および山本監督について語る井口だったが、監督の「それは今日までで、来週からはしないよ」という言葉に、少々苦笑いを浮かべる。
「レジスタンスのリーダーで、外見とは裏腹にちょっと悪役で、いつもの自分でやるのか、少し色を付けるのか、ちょっと悩みながら演じています」というスンダ役の浅沼晋太郎は、バランスがすごく難しいと、その印象を語り、「オンエアのときに僕じゃなくなっていないことを祈りつつ、頑張っていこうと思います(笑)」。
オリジナル作品となる『フラクタル』で、「冒険ファンタジー」というテーマを選んだことについて、「今、冒険活劇がないからやっておこうということです。必要だからやる。必要なものを必要なときにやるということを心がけております」という山本監督。「アニメに対してよくわからないというところまで追い詰められているので、吐き出すものを今のうちに吐き出しておこうと、それだけを心がけました」とその心情を明かす。今夏には、『私の優しくない先輩』で実写映画にも挑戦した山本監督だが、「アニメの業界から一歩出たところでモノ作りをしたおかげで、ようやくアニメを作るモチベーションが復活した」とのことで、「その思いを胸に、生まれ変わったも同然の自分を、この『フラクタル』にぶつけたいと思います」と、あらためてその意気込みを語る。そしてTVアニメ『フラクタル』については、自分と同様、アニメに対して悲観的な気持ちになった人に観てほしいとした。
スンダ役の浅沼は4月から放送された『四畳半神話大系』で、ネッサ役の花澤は現在放送中の『海月姫』にて、それぞれ"ノイタミナ"作品の主人公を演じているが、この"ノイタミナ"という枠について、「アニメを普段観ない人を惹きつける枠で、まさに、監督がおっしゃった"アニメが苦手になった人"に合っている枠ではないかと思う」と浅沼が語ると、これまでから同枠の作品を観て来たという花澤は、「憧れの枠であり、魅力的な枠」と振り返る。
会見の最後には「声明で大見得を切った以上、ハッタリにならないように頑張ります」と、作品にかける思いをあらためて語った山本監督。TVアニメ『フラクタル』は2011年1月13日より、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始予定。
■TVアニメ『フラクタル』おもなスタッフ
監督 / 山本寛◆原作 / マンデルブロ・エンジン◆シリーズ構成 / 岡田麿里◆ストーリー原案 / 東浩紀◆キャラクター原案 / 左◆キャラクターデザイン・総作画監督 / 田代雅子◆セットデザイン / 青木智由紀、イノセユキエ◆プロップデザイン / 田中裕介◆メカニックデザイン / 林勇雄◆美術監督・イメージデザイン / 袈裟丸絵美◆色彩設計 / 中島和子◆撮影監督 / 石黒晴嗣◆編集 / 坪根健太郎◆音楽 / 鹿野草平◆音響監督 / 鶴岡陽太◆プロダクション協力 / Ordet◆アニメーション制作 / A-1 Pictures
■TVアニメ『フラクタル』おもなキャスト
クレイン / 小林ゆう◆フリュネ / 津田美波◆ネッサ / 花澤香菜◆エンリ / 井口裕香◆スンダ / 浅沼晋太郎
(C)フラクタル製作委員 |