FenrirFS1.2.0

FenrirFSがバージョンアップしてFenrirFS1.2.0となった。ラベルを直接入力できる「インプレイスラベル編集」、複数ラベルの一括編集、Windows 7のジャンプリストへの対応などより快適なファイル管理が行えるように操作性がアップしている。そもそもFenrirFSというソフトは何かと言えば、散乱するデスクトップのファイルをカスタマイズ可能なラベルや自動振り分けフィルタなど、整理整頓に特化した機能を駆使することによって効率的に分類・管理するソフトである。

FenrirFSをファイル操作の司令塔として活用することで、迷うことのない快適なPCライフをおくることができる。検索を使ってしまえばいいではないか?という疑問も出てくるだろう。もちろんFenrirFSには充実した検索機能も備わるが、ラベルを整理・分類することが自体がこのソフトの重要な機能の一つ。たとえば、本を購入する場合において、あらかじめ明確なタイトルの本を探しに行くのと、書店の棚を探索しながら本を決定することは似て非なるものだ。書店を探索するのは楽しいもの。FenrirFSでは、この両方を己のPCの中で実現できるような感覚を与えてくれる。FenrirFSはWebサイトからダウンロードできる。

FenrirFSの操作の第一歩は、簡潔明快である。大量にあるファイルをFenrirFSのUI上にザザッーとドラッグ&ドロップすることだ。基本がこれだけでいい(図1/2)。この操作で移動したファイルやフォルダは左側にある[すべてのファイル]を選択するとメインエリアに表示される。実際にユーザーが活用する場所はその上にある[作業用トレイ]という場所になる。ここでは移動させたすべてのファイルのうち表示させたいものだけを表示させておくことができる。

図1ファイルを掴んでザザッーとドラッグ&ドロップするだけで

図2基本的な管理の準備は整う

UI上部に並ぶツールメニューの[アーカイブ]でそれが可能になる(図3)。削除するわけではなく、視界から抹殺しておきたいファイルなどは選択して、このアーカイブボタンを押すと作業用トレイからは見えなくなるが、実際には[すべてのファイル]に存在している。削除したい場合はその隣にある[削除]を押せばゴミ箱へと移動する(図4)。この簡単な削除作業もデスクトップでドラッグ&ドロップするよりも爽快感があるのは、操作回数の少なさと視認性の良さのおかげであるかと思う。これらの作業で大雑把な掃除は完了してしまうので一息ついていいだろう。年末のリアルな部屋掃除と同様に、一息入れるためにコーヒーでも飲むのがおすすめだ。年末の大掃除は、はじめるまでが億劫だが、はじめてしまうとあれやこれやと理想的な部屋の構築が楽しい。

図3 アーカイブではファイル管理上表示させる必要のないものを視界から消すことも可能だ

図4 削除する場合はファイルを選択してメニューの削除を押せば良い。

FenrirFSでは、ラベルによる管理機能が備わる。これが重要だ。ラベル作成は左ペインのラベルメニューの[ラベル]メニューから可能だ(図5)。ラベルは色やキーワードで作成するが、それをさらに上位概念のグループの二階構造で管理できる(図6)。ラベルが増えてきた場合は"グループ"という単位でもラベルを管理できる。ラベルは一つのファイルに複数付けることが可能で、作業用トレイから左側のラベルメニューにドラッグ&ドロップすることで簡単に付けられる。このラベルの操作性の良さは、ほかのWebアプリケーションやタグ付け分類ソフトと比較しても際立って使いやすい。

図5 ラベルは左側にあるメニューで管理できる。ドラッグ&ドロップで簡単にラベルを貼ることが可能だ

図6 ラベル自体をグルーピングするにはグループ機能を利用できる

FenrirFS1.2.0からは作業用トレイの中で、ファイル名の最初に直接[ラベル名 ]で括ることでラベルを作成できるように進化した(図7/8)。通常のデスクトップでのファイル名を変更するようにアイコンを左クリック二回プレス(長押し)するのと同様の操作だ。新規ラベル作成もこの方法でできるので、作業用トレイで片っ端から独創的なラベルを作成しておき、あとからグループ管理するという使い方も可能だ。新バージョンではWindows 7との親和性も向上しており、タスクバーのFenrirFSを右クリックすると作成したラベルや作業用トレイへ直接ジャンプできる。これにより作成したラベルをあたかもWindowsの一部であるように使い倒すことも可能になる(図9/10)。

図7 ファイル名から直接

図8 ラベル作成が可能になる

図9 Windows 7の新機能を使えば、ラベル毎のファイル表示エリアを

図10 直接呼び出すことも可能だ

充実した検索機能

右上には検索ボックスが備わっている。この検索ボックスでは、文字を1文字いれるたびにその文字が含まれるファイルを表示する。これが軽快に動くのもFenrirFSの特徴だが、豊富な"検索オプション"もさらに使いこなすためのテクニックとして覚えておきたい。

図11 一文字ずつ入力するたびに表示ファイルが変わる

label:文字列では、文字列が含まれるラベルのついたファイルを表示、in:boxでは作業用トレイ内部のファイル、in:trashではゴミ箱の中という具合に検索場所を限定した上でさらにキーワードで絞り込むことができる。ファイル整理という観点から特に覚えておきたいコマンドはmore:とless:の2つ。more:5mbとすると5MB以上のサイズ、less:5kbとすると5KB以下のサイズのファイルを表示する。5KB以下のテキストファイルだけを検索する場合には

less:5kb .txt

とする。仕事のラベルがついた1KB以上の.jpgファイルを探し出すには

more:1kb label:仕事 .jpg

としてやれば効率的に目的のファイルを探し出すことができる。

ファイルを削減するのにこれら容量でフィルタできることは特に便利な機能と言える。PC作業に影響しかねない巨大なファイルを見つけ出し、ガリガリ消去していくのはストレス解消にすらなるだろう。これらコマンドは同社Webサイトなどで確認できる。

図12 less:5kb .txtとすれば5KB以下のテキストを表示させる

more:1kb label:仕事 .jpgとすれば1KB以上の仕事ラベルが付いたjpgファイルを表示させる。

またメインメニューにあるファイルの自動振り分け設定では、ファイル名や拡張子、コメント、サイズ、日付による自動振り分け機能も設定できる。FenrirFSにファイルをドラッグ&ドロップした際にラベル、アーカイブ、スター、削除などの動作を設定しておけば自動的に処理してくれる。また左側にあるスマートフォルダでは、あらかじめ時系列やピクチャ、ビデオ、ミュージックなどある程度の区分けした分類が設定されており、これもSQL文などを用いてカスタマイズ可能である。

ラベルの貼り方で楽しむ

このように多彩な機能を持つファイル管理ソフトだが、今回のバージョンアップでは、作業用トレイのファイル名から直接ラベルを作成できるようになったことからもラベル作成を大量に行うという使い方が見えてくる。ラベルを含め検索方法も充実しているFenrirFSをさらに使いこなすには、ラベルの命名が重要なポイントになるだろう。見てきたようにファイル名や拡張子、日付などによる検索方法は大変充実しており、これらだけでも普通の場合十分事足りる。筆者を例にとると趣味と仕事というグループに分岐して、その下にあまたのラベルがなびくというつまらない人間なのだが、図書館を例に考えるとたとえばデューイ十進分類法などでは

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と区分した各下の階層にさらに10のカテゴリを作成してたとえば、英語の場合420、天文学の場合520といった命名で膨大な図書を管理していることになる。FenrirFSの機能でいえば、グループの部分がこれに該当することになる。グループ名に基になる番号を振っておけば、その概念の下に置くべきラベルにはその番号の下位番号を割り当てていくという方法だ。ラベルの親子階層を数字で補う手法といっても良い。実際にこれを個人に応用する場合は人様にお見せするわけではないので己の重要度に合わせていろいろと試してみると良いだろう。今後やりたいことなど興味あることなどをも先にラベルだけ作っておくのもPCを楽しく使える手法の一つだと思う。ラベルは一括で変更できるので、試行錯誤しながら自分に適したラベリングを発見して頂ければと思う。

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