West Village Investmentは、今年10月4日より、日経225先物、TOPIX先物対応トレードシステム「R5(アルゴ)シリーズ」(以下、「アルゴ」)の販売を開始した。ひまわり証券の「トレードシグナル」に対応のシステムで、ひまわり証券からリリースされるR5システムは、「R5バランス」と、エントリー条件を厳しくした「R5パッシブ」の2つのタイプとなっている。

今回は、アルゴのロジックについて、前回に引き続き、West Village Investment代表取締役の西村貴郁氏、取締役の岩本祐介氏にお話しを伺った。

日経平均のデータのみ使ってトレード

まず順張り系のロジックなのか、逆張り系のロジックなのか。

「結果として、順張りで入るのが25%、逆張りで入るのが75%になります」(岩本)。「ただロジックが順張り系なのか、逆張り系なのかというのは、非常に申し上げづらい」(西村)。

West Village Investment代表取締役の西村貴郁氏(左)と、同社取締役の岩本祐介氏

アルゴは、日経225先物だけでなく、TOPIX、債券先物、個別株、為替にまで適用可能なトレードシステムだ。ところが、実は日経平均のデータのみを使って、すべてのトレードを行っている。これらの投資対象は、すべて相関関係をもっている。もちろん、こっちが上がれば、あっちは下がるという単純な関係ではなく、こういう場合は相反する、こういう場合はシンクロする、という複雑な相関だろう。その相関関係がプログラム化されていて、日経平均という一つのデータから、全ての対象の売買を行っている。

「ですから、日経平均が直近の高値を抜けたから買う、というのは順張りですが、そのシグナルで為替にポジションを入れるときは、結果的に逆張りになっていることもあるのです」(西村)。

R5は、日経平均しか見ていない。

「TOPIXのシグナルを出すときにも、日経平均しか見ていません。個別株にシグナルを出すときにも日経平均しか見ていません」(西村)。正直、そんなことが可能なのかという気がする。日経平均の動きを見れば、為替から個別株、債券の値動きがわかるという。

「分析をしていくと、ある局面をとらえれば、日経平均がこういう場合は、ドル円はこう動きやすいという傾向が出てきます。例えば、今、日経225先物をトレードされる方は、間違いなくドル円の為替の動きも見てトレードしているはずです。24時間いつもきれいに日経平均とドル円がリンクしているわけではありませんが、ある条件が整った瞬間をとらえれば、リンクして動く時間帯が生まれてきます。その瞬間を捕らえて、日経以外の対象もトレードできるのです」(岩本)。

「これ以上説明してしまうと、ロジック公開と同じになってしまいますので(笑)。ただ、きちんとチャートを分析されている方であれば、ある時間帯は日経平均がこう動けばドル円はこう動く、あるいは個別株がこう動くということをお感じになっていると思います。それを精密に検証して、プログラムしたということです。ですから、そういう感覚でトレードされている方から見れば、イメージ通りのトレードをしてくれると思います」(西村)。

日経平均の動きの「パターン」をシステムが内蔵

前回の記事でも触れたが、R5の最大の特長は、利益確定の巧みさにある。R5はデイトレードなので、市場が閉まる時間に決済をする「時間エグジット」が用意されているのは当然として、それ以外に「早期型エグジット」「可変型エグジット」という2種類の決済ロジックが用意されている。

「今回は、エグジット(出口戦略)に徹底的にこだわりました。マニアックといってもいいぐらいに作り込んだんです」(西村)。

日経225先物での「R5パッシブ」(左)と「R5バランス」(右)の資産曲線(※2005年9月~2010年8月までWest Village Investmentが検証。検証結果は過去のデータであり、将来の実績及び確実な利益を保証するものではない)

日経225先物で、最近多いのが、前場と後場で、相場の様相ががらりと変わる現象だ。前場は順調に伸びて、評価利益を積み増していったのに、後場に入った途端に、突然逆転して、評価益が飛んでしまうだけでなく、評価損ゾーンに突入してしまう。あるいは、前場は大きく動いたのに、後場に入った途端にピタリと動かなくなってしまう。

アルゴは、このような1日の日経平均の動きのパターンを数種類、内蔵している。朝、市場が開くと、R5は、今日はどのパターンにあてはまるのかを模索し始める。そして、前場と後場が逆転するパターンであるときは、後場に入った直後に、利益を確定して脱出してしまう。これが早期型エグジットである。

この他にも、1日を通じて、ボラティリティが変化するパターンを数種類内蔵している。その日が、どのパターンであるかを判定し、さらに実際の値動きから精密に計算をし、どの時点で、どの程度の価格で利益確定の決済をすべきなのかを決めていく。これが可変型エグジットとなる。

従来は「利益を取れたのに取れなかった」ケースにも対応

どのような値動きパターンが考慮されているのかは、当然ながらアルゴのロジックのキモの部分なので、教えてもらうわけにはいかなかったが、例えば「前場は順調に上昇するのに、後場は値動きが止まり、もみあいになり、その後ゆるやかに下落して引ける」というパターンがあったとしよう。このような場合、裁量トレードであれば、前場はどんどん利益が積み増されていってうきうきとしてしまい、後場のもみ合いに入っても、「上放れするのではないか」という期待で、利益確定ができずに傍観してしまいがちだ。

しかし、アルゴはすでにその日が、そういう値動きパターンであることが分かっているという。実際のもみ合いのレンジがわかった段階で、もっとも高値になる点に利益確定ポイントを設定し、最大の利益をとってエグジットする。

「もちろん、トレンドがはっきりしていて、どんどん利益が乗っていくパターンの時は、どこまでも伸ばしていき、大きな利益を取りにいきます。そこは従来の弊社のトレードシステムとまったく同じです。しかし、R5は、従来であれば、利益を取れたのに結果取れなかったトレードも、確実に利益を取っていきます。ここが大きな違いです」(西村)。

「R5は、従来であれば、利益を取れたのに結果取れなかったトレードも、確実に利益を取っていきます」と語る西村氏

前回の記事でも触れたが、エントリーしたら相場観が合っていて、そこそこの利益が乗ってきた。もっと伸びることを期待して見ていたら、じりじりと反転して、結局利益がほとんどないような状態で、引き分けトレードに終わってしまうということが増えている。「欲張らずに、あそこで決済しておけばよかった」。R5は、そのようなトレードを確実に拾ってくれる。

今の相場は、どの対象を見ても、大きく強いトレンドがなく、小さな振幅を繰り返しているような状態だ。このような状況では、裁量トレーダーもシステムトレーダーも、苦しんでいることは間違いない。なぜなら、大きな利益を一気に取れるビッグトレードがほとんどなくなってしまったから、である。

であれば、引き分けトレードを、小勝ちトレードに変えて、小さな利益をコツコツと積みあげていく方が賢い。損益収支は、ビッグトレードに期待するよりも、確実な利益を積み重ねていく方が、改善されるし、安定するのだ。R5は、今の相場状況にチューニングをしてきたトレードシステムといえるだろう。

West Village Investmentの西村貴郁代表取締役と岩本祐介取締役 システム・アナリストへのインタビュー記事はこちら!!