「Cintiq 21UX」の運用を試すレビュー企画も、いよいよ今回で完結。Cintiq 21UX初体験から1カ月。このハイスペックの液晶ペンタブレットを、さらに使い込んでみた。
なお、これまでのこれまでのレビューは以下を参考にして欲しい。
●「Cintiq 21UX」(まずはデスクにセッティング編)はこちら
●「Cintiq 21UX」(セッティング完了編)はこちら
●「Cintiq 21UX」(ペンの描き味編)はこちら
●「Cintiq 21UX」(機能追及編)はこちら
●「Cintiq 21UX」(作業効率追求編)はこちら
さっそく作画を開始する。ところが、ツールに手が伸びるたび、ペンを置いてマウスに切り替えなくてはならず、すぐに嫌気がさしてしまった。色もレイヤーもペンも変更がない作画であれば、作業できると思うが、私には少し無理があると感じた。これを解消するには、Cintiq 21UXを2台使用してマルチモニタを実現するしかない。
結局、メイン画面に「Painter」の一切を置き、サブ画面にはメーラーやブラウザなど、キーボード作業がメインのツールを配置することで落ち着いた。ネットで資料を探しながら作画を進めたりするのに大変重宝する。
Cintiq 21UXを試用しておよそ1カ月間、とても便利で楽しい制作環境だと実感した。まず、タブレットとモニタが合体しているおかげで、これまで占拠していたタブレットの場所が不要になり、机の上がすっきりした。限られたスペースで制作を行うクリエイターにとって、Cintiq 21UXは選択肢のひとつとして候補に入れてもよいと思う。
また、長年、従来型のペンタブレットで絵を描いているときは気がつかなかったが、画面に直接ペンを走らせると、その手に隠れて下の画面が見えなくなり邪魔だと思ったことに意外な感じがした。紙の上で普通に絵を描くこともあり、手で隠れることは普通に起こることなのに、Cintiq 21UXになって改めて「手が邪魔」と思ったのだ。これは推測だが、デジタル環境では、細部を拡大したり、縮小して全体像を見ながら絵を描く。この作業はアナログではあり得ない、デジタルならではの作業である。その作業上で、これまではカーソル以外の存在を画面上に認めていなかったから、手が邪魔に感じたのではないだろうか。これは実におもしろい体験だと思った。
ところで、今後のCintiq 21UXで、ぜひ改善してほしいポイントが大きく2点ほどある。まず1点目は、本体から発する熱対策である。作画をせず、画面を見るだけであれば、通常の液晶モニタ並みの発熱なので、さほど気にならない。しかし、実際にその画面にペンを走らせると、特に夏場は手元が熱すぎる。発熱の問題を、まず何よりも先に解決していただきたいと痛感した。
2点目は、ファンクションキーの割り当てがわかりにくい点である。従来型のペンタブレット「Intuos4」のM~Lサイズでは、ファンクションキーに設定内容を表示する有機ELディスプレイが搭載されており、操作に迷いが生じない。この有機LEディスプレイをCintiq 21UXにもぜひ搭載してもらえたら、さらに直感的な操作感を堪能することができるだろう。
「Intuos4」に搭載されている有機LEディスプレイ。設定の変更だけでなく、文言も自由に入力できる。ホイールはCintiq 21UXと同様に小さなランプだけなので、ぜひともホイールにも採用してほしいところ |
これら2点の不満点を考慮しても、直感的な操作感は作業効率のアップにも大きく役立つと思った。多少乱暴に、筆圧強めでガンガン画面にペン入力をしても、かなりタフな印象を持った。迷っている人は、まずは家電量販店などでCintiq 21UXを触ってみることをオススメしたい。