インテルは11月11日、データセンター事業部の戦略を説明する記者会見を開催し、「クラウド2015」と呼ばれる将来ビジョンに向けた、同事業部の最新の取り組みを発表した。その中で、HPC向けメニーコア・アーキテクチャ「Knights」ファミリーにも言及、一般向けでは国内初披露となる「Knights Ferry」の拡張PCIeカードも紹介した。

米Intelのデータセンター事業部 副社長 兼 マーケティング本部長であるボイド・デイビス氏。「Knights Ferry」のPCI Expressカードを披露

会見を行ったのは、米Intelのデータセンター事業部 副社長 兼 マーケティング本部長であるボイド・デイビス氏。同氏が説明したデータセンター事業の戦略については、こちらの記事が詳しいので参照いただきたい。その戦略説明のなかで同氏は、クラウド上にHPCを存在させることで、より多くも人がHPCの活用が可能となり、「拡張性を容易に享受できるようになる」と話す。そしてHPCのさらなる活用のために開発中だという、「Intel Many Integrated Core(MIC)」を紹介した。

並列コンピューティングのための「Intel Many Integrated Core(MIC)」

Intel MICは、シングルスレッド性能は低いが、小型かつ低消費電力なコアを、ダイに複数内蔵することで、並列処理能力を高めるという、同社のアーキテクチャではLarrabeeに似た並列コンピューティング向けのアーキテクチャ。「Knights」ファミリーとして、最初のアーキテクチャが発表済みである。HPCにおいては、Intel Xeonを補完するコプロセッサのような位置付けでの利用を想定しているそうだ。

「Knights Ferry」のキットは開発者向けに提供がはじまっている。HPCのシステム内では、Intel Xeonを補完する並列処理用のコプロセッサのような位置付けで活用される

当日は、このKnightsファミリーから、「Knights Ferry」の拡張PCIeカードの実機が公開された。Knights Ferryは開発者向けのソフトウェア開発キットで、カード上には最大32コア/128スレッドのIAコア、8MBのコヒーレントL2キャッシュ、最大2GBのGDDRメモリが搭載されている。消費電力は300Wとされていた。

「Knights Ferry」カードの実機。見た目はハイエンドクラスのグラフィックスカードそのもの

6ピン+8ピンの補助電源コネクタも

よく見ると、バックパネルに出力端子用と思われる空きパターンがあった。基板は本当にグラフィックスカード用そのままなのかもしれない

商用製品となる最初のKnightsファミリーは、Ferryの次世代の「Knights Corner」からになる予定だ。IAコアを50個以上搭載し、製造プロセスには22nmルールが採用される。並列コンピューティングの競合に対する優位性では、現時点で性能に関する情報は非公開となっているが、まずは性能で、「競合と比べてもリーダーシップをとれる性能を目標としている」(デイビス氏)。そして、開発者が従来のリソースを活かしたまま、通常処理のXeonと並列処理のKnightsを活用できるようなソフトウェアツールおよび最適化技術の提供も、Knightsファミリーのメリットとして説明されている。

商用で最初の製品となるのは「Knights Corner」から