次期Firefox 4.0は、7月の4.0β1公開、9月15日には4.0β6が公開、さらに10月8日にはAndroid版のβ1が公開された。その後、しばらく動きのなかったβリリースであったが、11月10日β7がリリースされた。Mozillaによれば、開発の遅れもあるが、より安定した機能の実装のために、正式版のリリースを当初の予定の2010年内から2011年初頭へ変更した。また、今回のβ7においては、APIなどのFixを行いアドオンなどの最終的なテスト環境と位置付けている。

図1 Firefox 4.0β7公開ページ

リリース情報によれば、β7では、JavaScriptの実行速度、グラフィックス性能の大幅な向上が図られたとしている。

図2 各種ベンチマーク結果(Mozillaのブログより引用)

この結果を見るに、β7では、かなりの高速化が達成された。本稿では、β7をインストールし、その概要を紹介したい。これまでのβ版もそうであるが、開発者やテスター向けのものであり、一般のユーザーを対象とはしていない。実際にインストールには、自己責任で行ってほしい。注意事項としては、β版とはいえ、既存のFirefox 3.6などの環境をそのまま引き継ごうとする。

つまり、ブックマークやアドオンなどの環境をそのまま利用しようとする(PCにインストールされたプラグインも同様)。ブックマークに関しては問題はないかもしれない。アドオンに関しては、4.0では動作しないものもある。そのようなアドオンがあった場合には、Firefox 4.0β7の起動時には警告が発せられるが、少々、わずらわしい(アドオンに関しては、別の機会に取り上げる予定である)。既存のFirefox 3.*とも共存は可能であるが、まったく影響がないともいいきれない。もし、インストールを行うのであれば、承知のうえ行ってほしい。

Firefox 4.0β7を試してみる

まずは、インストールを行ってみよう。図1からFirefox Setup 4.0 Beta 7.exeをダウンロードする。日本語版も用意されているので、そちらを選択する。ダウンロードしたファイルをダブルクリックでインストールが開始される(図2)。

図3 インストーラの起動

インストーラも日本語化されており、迷うこともないであろう。図4がでれば、インストールの完了である。

図4 インストールの完了

[今すぐFirefoxを起動]にデフォルトでチェックが入っているので、[完了]をクリックすると、β7が起動する。

Firefox 4.0β7を使ってみる

起動したFirefox 4.0β7は、図5のようになる。

図5 Firefox 4.0β7

Tab on Topと呼ばれるように、タブが最上部に配置され、ロケーションバーと検索バーが統一された(その右には検索バーもあるが)。これまでのβ版と比較して大きく変わることはない。メニューは左上の[Firefox]からすべて行う。

図6 メニューの表示

旧来のメニューバーなどに戻すこともできる(図7)。

図7 メニューバーやブックマークバーを表示

そして、Firefox 4.0の新機能の1つである新しいタブ管理機能Panoramaが図8である。

図8 Panorama

その時点で閲覧中のタブがサムネイルで表示され、ドラッグ&ドロップで操作可能となる。利用頻度の高いタブ(Webサイト)を目的や作業ごとにグループ分けすることができる。

新JavaScriptエンジン:JagerMonkey

Firefoxでは、新たなJavaScriptエンジンとして、JagerMonkeyが搭載された。これまでのエンジンは、TraceMonkeyであったが、その名の通り、トレース処理には高速な処理が可能であったが、それ以外の処理でボトルネックとなることが多かった。そこで、JagerMonkeyでは、メソッド全体を機械語に変換し、新しいJIT(just-in-time)コンパイラ導入した。この結果については、図2で示した通りであるが、実際に筆者の環境でも、比較を行ってみた。JavaScriptの実行速度を測定するSunSpiderを試してみた。まずは、β7である(図9)。

図9 Firefox 4.0β7での実行結果、322.9ms

ついで、Firefox 3.6.12である(図10)。

図10 Firefox 3.6.12での実行結果、925.1ms

たしかに3倍近い高速化が実現されている。今回のβ7のリリースでは、Firefox全体で高速化が行われた(そのために開発時間もかかったのであろう)。次世代のWeb環境としてHTML5などの期待も高まっているが、やはりWebブラウザとしての基本性能である「速さ」もまた重要な要素である。今後、正式版に向けさらなる改良が加えられていくだろう。