先日米Apple本社で行われた「Back to the Mac」イベントで紹介された次期「Mac OS X "Lion"」のプレビューでは、iPhone/iPadのエッセンスを取り込んだ新機能としてMac App Store、Launchpad、Full Screen Apps、Mission Controlの4つの機能が紹介された。だが最近欧州に提出されたAppleの出願特許によれば、同社は新しいメニュー方式を検討しており、これが近い将来にもiPhone/iPad、そしてLionの目玉機能として搭載されるのではないかという噂が持ち上がっている。
この件を報じているのはAppleの出願特許報道ではお馴染みのPatently Appleだ。同サイトが11月8日(米国時間)に掲載した「A New Patent Reveals Scrollable Menus & Toolbars for OS X Lionという記事によれば、この新機能は「Scrollable Menus and Toolbars」と呼ばれ、機能メニューやツールバーの機能をアイコン表示されたスクロールするメニューの中で選択することが可能になるというもの。用意されているメニュー構造は2種類あり、まず1つめは左右方向にスクロールするメニューだ。何種類かあるメニュー項目は水平方向につながっており、用意された覗き窓からはそのうちの1つの項目と、その左右隣にある項目のフェードアウトされた状態で表示されている。これをスクロールさせることで特定の項目を選択し、現在フォーカスが合っている項目を機能として選び出すことが可能となる。
Patently Appleに掲載された図版を見る限り、Mac OS XとiPhoneの2つの画面の例が紹介されており、どちらでの利用も想定しているようだ。またMac OS Xで動作中のアプリケーション(例えばビデオ編集ソフトなど)のウィンドウ中にも同種のメニューが表示されており、さまざまなアプリケーションで汎用的に利用することを想定しているようだ。
メニュー構造の2つめはリング状のメニューで、先ほど水平方向に並んでいたメニューがループを描いて円状に配置されている。先ほどのスクロールは左右方向だったが、こちらはリングが回転する方式でメニューを選択する。リング状メニューで興味深いのは、このメニュー方式がサブメニューを持つ構造になっていることだ。特定の項目アイコンを選択すると、そのサブメニューが上下垂直方向へと展開し、さらにスクロールでサブメニューの項目を選択できる。おそらく「ファイル」「編集」といったメニューバーの構造を想定しており、これをアイコンによる表示と少ない操作で素早く目的の項目にたどり着けるよう、工夫した結果とみられる。これはソニーの「クロスメディアバー(XMB)」などにも見られる構造だが、選択項目が肥大化しない限り、比較的限られた表示領域や入力インターフェイスの環境でも使いやすい仕組みが提供できるといえる。