11月6日、東京・新宿の新宿バルト9にて、『装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE (ケース;アービン)』のイベント上映がスタートし、その初日舞台挨拶に、アービン役の平川大輔、ベイガン役の福山潤、イシュルーナ役の遠藤綾、そして監督を務めた五十嵐紫樟氏が登場した。
1983年のTVシリーズ放送以降、幅広い層から高い支持を集める『装甲騎兵ボトムズ』だが、そのシリーズ最新作となる3作品がビデオグラム発売に先駆けて、3カ月連続で楽しめる上映イベント「ボトムズフェスティバル」。その第一弾として11月6日より『装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE』が全国5劇場にて公開された。
『装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE』は、五十嵐監督にとっては初監督作品。「最初はこんな大事になるとは思わなかったのですが、初めての監督作品が『ボトムズ』というのは光栄な話」と現在の心境を語る。『装甲騎兵ボトムズ』といえばやはり"キリコ"だが、本作にキリコは出てこない。「世界観自体はかつてのTVシリーズのボトムズの世界、アストラギウス銀河という100年以上も戦争をしている、戦争が常態化してしまっているような世界の中で、キリコたちが活躍した場所とはちがうところで、『Case;IRVINE』という名のとおり、アービンという主人公を切り取ったのがこの物語になっている」とのことで、初めて「ボトムズ」を観る人はもちろん、「昔のボトムズを知っている人も楽しめるようにちょこちょことスパイスを効かせています」(五十嵐監督)。
最初のTVシリーズからおよそ27年を経ている「ボトムズ」。その第一作目を観たことはなかったという平川大輔は、ボトムズについての印象を「緑色、戦争、戦いは派手だけどロボットが地味」と語り、さらに「主人公が無口(笑)」と付け加える。それもあって、最初にオーディションの話が来たときは、「ボトムズの主役ということは、喋らない役なのではと思い、ちょっと楽できるかなと思っていたのですが、意外と喋っていました(笑)」と自らが演じた主人公について語る。そんな平川の演技に対して、「オーディションを受けてくださったときもバッチリで、実際にアフレコの臨んで演技していただいたときもバッチリ」と五十嵐監督は太鼓判を押す。
一方、イシュルーナ役の遠藤綾もTVシリーズを観たことがなく、「ボトムズ」についてはタイトルを知っているぐらいだったという。「何となくのイメージとしては、"ボトムズ"というロボットが戦うんだと思っていました(笑)」。しかし実際に台本を読むと、思っていた以上に人間ドラマが濃いことに気づき、「『ボトムズ』という作品は、戦ったりもするけれど、人間同士のドラマがけっこう深いんだよっていうお話を聞き、この『Case;IRVINE』もそれを受け継いでいるんだなと思いました」と作品の印象を語る。自らが演じるイシュルーナについて、「見た感じ、本当にお嬢様で美しく、ナイスバディなんですが、意外と普通の面がけっこうチラホラ見えてきて、お嬢様ではなく下町っぽい感じがしました」という遠藤。五十嵐監督は収録の際に「イシュルーナはネコ。ネコみたいにコロコロ変わる子」と説明したの対し、遠藤は「本当にお嬢様だと思っていたので、ネコでいえば高級なネコだと思っていたのですが、もっとツンデレで小悪魔な感じのネコでした」と感想を述べると、福山潤から「何か盛ってない? そうだっけ?」とのツッコミが入り、「そのあたりは、これから観ていただく皆さんに判断していただいて……」と苦笑いを浮かべる。
「緑というのもそうなのですが、脂臭い、線が太い、みんな骨太で、おっちゃんの声ばっかりの男臭いドラマ」というのが福山の抱いていたボトムズへの印象。今作については、「久しぶりにアニメーターの方々の手描きによるATのバトルを見せてくれる」と、その見どころを熱く語る。ここ何年かに製作された「ボトムズ」は3DCGで描かれていただけに、ここは大きなポイントだという。自らが演じるベイガンについては、上映前ということもあって「アービンを付け狙う……あとは観ていただいて(笑)」と多くは語ろうとしなかったが、とにかく謎の多いキャラクターということで、「ベイガンとアービンのバトル、人間的にもそうですし、AT的なバトルも、その火花を散らしているところを楽しんでください」。
収録の際、五十嵐監督や音響監督のたなかかずや氏からの指示はほとんどなかったとのことで、「スタジオの中で平川さんと一緒に、きっとダメだって言われるんだろうなって思っていたらスルーだったので、あれあれ? という感じでした(笑)」という福山。五十嵐監督から「福山さんもバッチリでした」というお墨付きももらいながらも、「本当に僕らって不安がる生き物なので、いろいろ言われたほうが安心できる部分があるんですよ。言われ過ぎるとすごく落ち込んで、適度に言われると『ヨシッ!』って。それで、何も言われないと、『ああ、僕はもう見放されたんだな』って(笑)」という複雑な声優心理を明かしていた。
ここでは最後に出演者が語ったメッセージを紹介しておこう。
福山潤 「ボトムズ」の新たな幕開けと言いますか、本当にいろいろなことにチャレンジしていて、見せるものがたくさんあるすばらしい一篇になっていると思います。皆さん、これからです。もうすぐですので、楽しんで帰ってください。
遠藤綾 キャラクターひとりひとりがとても魅力的なので、ぜひぜひひとりひとりの魅力を感じ取っていただきたいですし、イシュルーナは衣装がチェンジが多いので、それも楽しみに観てください。
五十嵐監督 福山さんにも言っていただきましたが、久方ぶりに手描きで動くATのアクションを存分に楽しんでください。若手実力声優たちによって命を吹き込まれたスタイリッシュなキャラクターたちの人間ドラマもぜひ楽しんでいただけたらと思います。
平川大輔 すごくダイナミックなバトルシーンやヒロインの素敵な姿もありつつ、各キャラクターたちそれぞれのドラマが描かれています。今回は『Case;IRVINE』ではありますが、ほかのキャラクターたちすべてにドラマがあって、主人公になるケースがあるんじゃないかと思いますので、それぞれのキャラクター全部を余すところなく観ていただけたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
劇場アニメ『装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE』は、新宿バルト9ほかにて現在公開中。上映館などの詳細については「ボトムズフェスティバル」の公式サイトをチェックしてほしい。なお、「ボトムズフェスティバル」の第二弾「ボトムズファインダー」は2010年12月4日より、第三弾「装甲騎兵ボトムズ 孤影再び」は2011年1月8日より公開予定。
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